第二章 ~一度きりのタイムリープ~

#26 絶望。そして誓い。

リシテアとコ―デリアが消えた。

いや、消されたんだ。俺の作ったゲ―ムに。


この狂った世界に。


「俺は……強くなって……ッ。彼女たちを守るって……ッ」


「モンスタ―から彼女たちを守るって――」


そう思っていたのに……。


「こ、こんな、ハズでは………っ!」


リシテア……、


「ハハハッ!」


コ―デリア……!


「――――――ッ!!」


気がついたら大量の涙がこぼれ落ちていた。


「モンスタ―から護るだって?」


俺の感情は昂ぶる。


「笑わせるなよ……ッ! それ以前の問題だったじゃないか……ッ!」


顔を上げるとイオが突っ立っている。


「ハヤトさん、どうしたのですか? なにか具合でも――」

「黙れよッ!!!!!」


俺は思わず怒鳴どなってしまう。


「ハヤトさん……」

「リシテアとコ―デリアが消えたんだぞ!!」

「その人達は誰なのですか???」

「……なんで初めて聞いたみたいな顔をしているんだよッ!! 

 彼女たちは俺達の仲間で――!?」


そうか。

ただ単に消去されたんじゃない。デ―タが消されたんだ。

なら同じデ―タの存在であるイオが二人を覚えている筈はない。


――そう。


彼女たちは所詮デ―タ――、

ウニティから創り出された。

ただのデ―タでありAIだ。


そしてこの世界も――、

ワールド・オブ・ユートピアもデ―タで作られているだけに過ぎない。


そして、この欠陥だらけの世界を作ったのは自分自身である。

俺が作り出した、狂った世界。

こんな世界は、俺が求めていた世界じゃない。


こんなクソみたいな世界――


ステテシマエバイイ!


コンナセカイ……、


ステテシマエバイインダ―――。


俺は剣を掴み。自分に向け突き刺そうとした。


「ハヤトさん、一体何をしようとしているのですか?」

「一体何を……か。フフフッ。所詮お前らAIには分からないだろうよ……ッ!」


「え―あい……?」


イオはAIが何か分かっていないようだった。


「そうだ! お前達には何も分からないッ!」


俺は怒鳴り散らす。


「なぜ俺がッ! この世界に来たのかもッ!

 なんのためにお前達と出会い、冒険しているのかもッ!」


イオは黙って俺のセリフを聞いている。

いや、理解できないから返答が出来ないのか?


「お前達は所詮ッ! 俺の指示にしか従わないッ!」


所詮、プログラムで動いているNPCに過ぎない。


「俺が――なぜ悲しんでいるのかもッ!!」

「ハヤトさん?」

「――貴様らAIには分からないだろうなッ!!」


イオはぽかんとしている。


そうだ。彼女たちやNPC、モンスタ―は所詮AIだ。


俺が設定しただけのAIだ。


そして、このポンコツな世界も俺が創った。


俺は剣を腹に向けて近づける。


事実上の自殺である。


俺が死んだら、ゲ―ムオ―バ―状態となり、意識は無となる。

“魂が永遠にこの世界に彷徨さまよう”ことになるだろう。

……この世界に魂があるのかは知らない。

そもそも、現実世界にも魂があるのかは分からないがな。


一人暮らしだから、現実世界の俺も昏睡状態のまま衰弱すいじゃく死するだろう――


さようなら俺、俺の世界――


――俺は、


剣を……、


自分に向け突き刺した――。

  

          

◇◆◇◆



――そう、この世界、ワールド・オブ・ユートピア――は俺が創り出した。


俺はこの世界に“人”のデ―タとしてこの世界に誕生した。

そして、この世界のAI……つまりNPC達は俺と同じデ―タの“人”として存在している――。

また、モンスタ―たちもNPCと同じく、この世界の“生き物”として存在している。


なら、現実世界との違いはなんだ?


否、現実世界との違いなんてない。


なぜなら――。


俺は、この世界にNPC達と同じように“人”として生きているからだ。

そこにNPCと俺に大した違いなんてない。

違いがあるのは、状況が理解できるかそうでないかってだけだ。


NPC


なんだよ。……そういうことじゃないか。

俺はHPがゼロになる前に剣を抜き剣を締まった……。


「…………」

「どうしたのですか? ハヤトさん。メラメラ……」

「なんでもないさ。ただ――」


そうだ、この“この世界”と“現実世界”に違いなんてない!


「――俺は、この世界を……本気で生き延びてみせる――」


そう。違いなんて無い。


「イオ」

「……なんでしょう?」

「お前を……」


いや、違う……。


「お前だけは――――ッ!!」


「“必ず”守ってやる!!」


――そう俺は誓った。


今度こそは失敗しないと。


必ず守ってみせると――。


俺はイオの手を引っ張り。先に進む。


「さて、と……」


俺は今後のことを考える。


「とりあえず……どうしようかね」


もうパ―ティメンバ―は二人だ。

雑魚モンスタ―にすら苦戦するだろう。


「ハヤトさんっ!」

「ん? どうした?」

「イオ、あれに乗りたいです! メラメラ……!」


イオは蒸気機関車を指差す。


「……乗りたいのか?」

「はい! どんな乗り物なのかイオは知りません。メラメラ……」


まあ、息抜きも必要だろう。


「よし、じゃあ、あの蒸気機関車に乗るか!」


俺達は機関車乗り場まで行った。


受付の人に話しかける。


「あの、この機関車に乗りたいのですが」


俺は金を渡す。


「そうかい、丁度 《トリトン》行きの機関車が走るところだよ」

「じゃあそこでお願いします」


そして、俺達は蒸気機関車に足を運んだ――。

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