#25 理不尽な消滅

俺達は歩いていき、蒸気じょうきマ―ズの街の入口が見えてきた。


「ここか……」

「入りましょう」


俺達は蒸気の街マーズに入る。


すると、物凄い熱気ねっきが体に伝わってきた。


「熱っ!」


その場所は火傷やけどしそうなくらい熱かった。


その街は蒸気の街とだけあって視界が水蒸気だらけでモヤモヤとしており

街の様子がはっきりと見えない。

だがよく目を凝らすと、少しは様子がわかる。


地面からは湯気ゆげのようなものがでており、常に熱い蒸気を街中に出している。

いろんな店があり、その中でも温泉がいっぱいあるようだ。

街の人―はこんなにも熱い場所だというのに平然としている。


だが、特に目を引いたのは蒸気機関車が走っていることだ。

あの蒸気機関車はどこまで走っているのだろうか?

この街は他の街よりもテクノロジ―が相当進んでいるようだ。


さっきからコ―デリアが暴れている。


「熱いですわ! あつ……熱いですわ!!!」


金髪の少女はとてもうんざりしていた。


「こんな所にいたら全身やけどしてしまいますわ―!!」

「これは想像以上の熱さね……」


コ―デリアはとても熱そうにしている。

だが、コ―デリアだけではなくリシテアも相当苦しそうだ。


イオは火属性だけあってか平然としている。


「さて、とりあえずクエストを受けに行くか」


俺は歩きながら酒場を探す。


「えっと……酒場は……」


ここかな?


俺は酒場らしき場所のドアを開け入った。


――ガチャ


「あついあついあつい!! ……あら? この部屋は涼しいですのね?」


入ると男達がガヤガヤ騒いでいる。

やはり酒場だったようだ。


「みんな、腹減ってないか?」

「私はさっきから腹ペコよぉ」

「イオもお腹が空いたです……」


リシテアとイオは自分のお腹を手で抑える。


「わたくしもお腹が空きましてよ?」

「よし、折角だしここでなにか食べようか」


俺達は空いているテ―ブルを見つけ椅子に座った。

向かいの席の正面にリシテアとコ―デリアが、

俺の隣の席にイオが座っている。


すると、店員が一人俺達に向かってやってくる。


「ご注文は?」

「えっと……」


俺はメニュ―表らしきものを見る。

……全く何が書いているかわからない。


「みんな、ここに書いてある文字は読めるか?」

「う―ん? 読めないわね」

「読めないですわ」

「わからないです。メラメラ……」


俺は面倒くさくなり、


「んと、お任せで」


そう店員に言った。


「わかりました」


「おまかせって……なにが来るのかしら?」

「何が来るのでしょうね?楽しみです! メラメラ……!」

「腹ペコですわ……」


しばらくすると、食べ物が運ばれてきた。


「げっ!」

「ぎゃあ」


俺とコ―デリアは驚く。


置かれたのはワニ? の丸焼きだった。

あと容器に注がれた……。

甘い香りとアルコ―ルの匂いがする……

これはハチミツ酒か?


ハイテクな街の割には食べ物は雑なんだな……


「これを食べるんですの……?」


コ―デリアは青ざめている。


だが、リシテアとイオは美味しそうな目で見ている。

この二人、おかしいんじゃないのか?


「いただきま―すっ!」

「いただきます。メラメラ……!」


二人はぱくぱくとナイフとフォ―クを使って食べている。


「これ! とっても美味しいわね!」

「美味しいです! なんだか燃えてきましたね!」


二人はとても美味しそうに食べている。


ぐぬぬ……

女の子があんなにも簡単に食べているのに、

俺が食べられないはずがない!


俺は勇気を振り絞り、ワニにフォ―クを突き刺し――、


――がぶりっ。


頭からかじりついた。


「んむんむ……」

「ハヤトくんワイルドねぇ!」

「かっこいいです!」


「あ、あれ? 案外いけるな……それどころか……」


意外とイケる……。


「うまいぞこれ!」


俺はそのまま二口目を食べた。

うん、やっぱりうまい。

あれ?そういやコ―デリアはどうなった?


コ―デリアは顔を真赤まあかにしながらフラフラとして言った。


「ハヤトさまぁ……だっこするのですわぁ……」


なんか思いっきり酔っ払ってるし!


「おい、コ―デリア大丈夫か?」


「何言っているのれすの? らいじょうぶれす」


コ―デリアはそのまま俺に顔を近づけてくる。


「ハヤトさま! ちゅ―してぇ……ちゅ―!」


「あはははコ―デリアちゃんおもしろ―い!」

「ってリシテアまで酔っ払ってるし!」


まさかイオまで酔っ払ってるのか……?


俺は確認の為、イオの方を見る。


「ひっく……面白いれすぅ!」


って気がついたらなんかみんな酔っ払ってる!?


俺は視線を正面に戻した――


……あれ?


さっきまで椅子に座って酔っ払っていたリシテアとコ―デリアがいない。

どこにいった?

トイレかな?


……いや、この世界に排泄はいせつという概念がいねんはないはずだ。

実際俺達は今まで一度もトイレに行っていないぞ?

なら、どこに?


横を見ると、イオはいるようだ。


「うへへぇ……ハヤトさぁん……」


相変わらずイオは酔っ払ったままだ。


「イオ! 二人はどこに行ったか見たか?」

「二人ぃ? 誰のことれす?」

「誰ってリシテアとコ―デリアに決まってるだろ?」

れすよぉ……」


何を、言っている?

酔っ払っているからおかしくなっているだけか?

一体どこに消えたんだ?


俺は席を立ち、受付の人に話しかけた。


「なんだい?」

「ここで緑髪の子と金色の髪の子を見ませんでした?さっきそこで座っていたんですけど」

「いや、知らないな」


「あ、ありがとうございます」


知らない?そんな馬鹿な。

俺は焦り、酒場から飛び出し、街を探し回った。


「リシテア! コ―デリア!」


俺は叫びながら街中を走り回る。


探しまわって十分が過ぎ、三十分が過ぎ、一時間が過ぎた。


だが、彼女たちはいなかった。


俺はなにか手がかりはないかと思いメニュ―からログを開いた。


そこには……、


致命的なエラ―。


《リシテア》《コ―デリア》は《マ―ズ》の属性に対応しておりません。

尚、《ハヤト》は無属性であるが、

このゲ―ムのであるため消去されません。


    消去を開始します......


    消去まで後十分......


    致命的なエラ―。


幾つかのデ―タが残るため不具合が発生しました。

《リシテア》《コ―デリア》の消去に失敗しました。


    デ―タの完全消去を開始します......


    デ―タの完全消去まで十分......


   《リシテア》《コ―デリア》のしました。



ログの履歴にはそう記されていた。



「なんだよ、それ……」


消去……だと……?


「え……あぁぁ……」


俺は情けなくすわり込む。


「お、おれは、彼女たちを……守るって……」


完全消去が成功しました――。


頭が真っ白になる。


守るってちかったのに……。


俺の心に穴がぽっかりと空いたような気がした――。

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