#13 ヒロインと混浴大作戦!

俺達は食事の片付けを終わらせ、馬車に乗った。


「さあ、出発するわよ! 《カリロエ》まで――」


「「――しゅっぱ―つ!」」


とリシテア達の合図と共に馬車が走り出す。


しばらく馬車に揺られたあと――俺達は、《カリロエ》に到着した。


《カリロエ》に到着すると、木造の建物から村長があらわれた。


「おお! そなた達、無事でなによりだった」

「お久しぶりです村長さんっ」


レアはひさびさに村長に出会い喜んでいたようだった。


「ところでこれ、レアが言っていた蜘蛛くもの糸をちゃんと持ってきましたよ」

「なんと! これだけあれば十分じゃ! 報酬をやろう!」


俺は村長から金を受け取った。


「これで、《カリロエ》のみなさんも助かりますっ お兄ちゃんたちのおかげですっ」


レアは感謝の気持ちでいっぱいのようだ。


「レア、昨日よりもずいぶんとたくましくなったのぉ」

「そ、そうでしょうか?」

「そして、強くもなった。この勇者達と一緒にいるうちにレア自身も強くなったのじゃ」


村長はレアの正面に立ち告げた。


「レア」

「なんでしょうか? 村長様っ」

「もうこの村にずっといる必要もない。これからは、勇者どの達と一緒に行動すればよい」

「お兄ちゃん達と一緒に……」


レアは俺達と村長を交互に見て言った。


「はい! ありがとうございます村長様っ」


そして、俺達は《カリロエ》を出て振り返る。

村人達がレアに手を振っている。


「これから冒険にいってきますっ!」


レアも手を振り返している。


「さようならっですっ!」


俺達は《カリロエ》から離れた。

そのまま《ディオ―ネ》に向かった。


ディオーネに向かっている途中リシテアが言う。


「もうすぐディオ―ネにつくわよ―」

「私、ディオ―ネに行ったことがないですわ。その街は大きいのですの?」


リシテアの発言に対し、コーデリアが問う。


「……かなり大きくてしっかりとした街よ」

「そうなんですの。楽しみですわねっ!」

「イオも知らないですっ! 楽しみです! メラメラ……」


みんなが楽しそうに喋っている間に、一行は《ディオ―ネ》に到着した。

街には付いたが、どうしたもんかな……。


「そうだ、金ももらったことだしHPヒットポイント回復ポ―ションでも買いに行くか!」


彼女たちを助けるには回復ポ―ションも必要だ。


――ん?


――回復アイテム……?


……俺はとんでもないことを思い出した。


俺は最初にこの世界の初期設定で、

このゲ―ムをシビアにするために、したじゃないか……!


最、悪だ……。

俺は、とんでもないことをしてしまった……


「ハヤトさんお店に行かないのですか?」

「いや、気分が変わった」


すると、コ―デリアがだるそうに言った。


「わたくし、汗をかいてきましたわ。お風呂に入りたいですわー!」

「私も最近モンスタ―と戦ってばかりだからリラックスしたいわね!」

「わたしもっ賛成です!」

「いいですねお風呂! みんなで入りましょう!」


「あそこに銭湯せんとうがありますよっ!」


とレアが銭湯を指差す。


「さ、ハヤトさん! 行きますよ! メラメラ……」


お風呂――。


ま、まて、風呂に入るだって?!

美少女たちと一緒に風呂にはいる……!?

俺は彼女の裸を考えただけで頭がフット―しそうだった。


いやいやいやっでもっ、現実にある銭湯みたいに男女で別れてるんだよな?

なら、安心なのか?


そんなことを考えている内にシステムエラ―に対する不安は遠のいていった。


そう思って俺は彼女たちと一緒に銭湯の扉を開いた――。

俺は混乱し、受付に全員分の金を払ってしまった。


「では、ごゆっくりどうぞ」


と、受付の人が言う。


「わたしたちは先に行ってますねっ!」

「また後で、ねハヤトくん!」

「メラメラ……!」


と、リシテアとレアとイオは先に行っていった


「じゃあ、俺は男湯だから、後で合流しよう」

「なにをいっているのですハヤト様。銭湯は混浴ですわよ」


な、に?


そうだ、ここは現実の銭湯じゃない。

ファンタジ―世界じゃないか。

ファンタジ―世界なら混浴が普通なのか!?


「さあ、一緒にいくのですわ」

「ま、まま、まだ心の準備が――」


とコ―デリアが俺の手を引いて脱衣所の入り口に連れて行く。


そして、俺は覚悟を決めて脱衣所に向かった。


先に向かったリシテア達はもうすっぽんぽんになっているのかな……?


つ、ついに彼女たちのおっぱいが拝めるのか!


――ゴクリ


俺は脱衣所に入った、刹那――視界がモザイクに……!?


「視界がモザイクで何も見えないぞ!」


何だ? 俺はメニュ―を開きログを見る。


       深刻なエラ―


不適切な映像センシティブが表示されているため、映像に規制を行います。


はあ? なんだよこれは!

これじゃあ彼女たちのおっぱいが見れないじゃないか!


「さて、私も服を脱がないとですわ」


服を脱ぐ!?


すると、俺の耳元で、

――するするっと布が擦れる音が聞こえる。

クソッ! 服を脱いでいるはずなのに何も見えないッ!


「ハヤト様、皆様が待っているわよ、湯船に行くのですわ」

「あ、ああ」

「え―と湯船は……」


俺はモザイクで殆ど見えないので、手探りで湯船の入り口を探した。


俺はドアを開け、湯船に浸かろうと、

視界が殆ど見えないまま慎重に歩いていく。

よし、恐らく目の前だ。

あとは足を入れるだけ……。


「どわっ!」


――バッシャ―ン!


俺は段差に足を引っ掛け顔から思いっきりダイブしてしまった。


(ゴボボボボボ……)


もしかして俺、溺れてる?


(ゴボボ……)


すると、誰かに手を掴まれた。


「ぶっはぁ! ゲホッゲホッ」

「大丈夫?ハヤトくんっ」


目の前にはリシテアと思われるものが見えるがモザイクでよくわからない。


「大丈夫だ……ゲホッゲホッ」


俺はむせた。


……今度こそ俺は湯船に浸かる。


「しかしいいお湯ねぇ―」

「とっても燃えるようなお湯です!」

「リラックスですっ!」

「汗も流せたし、とても極楽ごくらくですわ!」


彼女たちの声が聞こえる。


しかしおっぱいどころか、何も見えない。


おっぱいが見えない……ッ!

ならば、んで感触かんしょくを確かめるんだ……ッ!!


でも見えないのにどうやって?


「はっ!」

「どうしたのハヤトくん?」

「い、いやなんでもないぞぉふふふっ」


俺は不気味な笑みを浮かべた。


見えないのなら、心の眼でおっぱいを感じ取ればいい……!

ラッキ―なことに、俺の周りにはタ―ゲットが四人もいる。


俺は眼を閉じ……


全意識を集中させる――――ッッ!


頑張れ来栖隼斗……!!

おっぱいを感じ取るんだッ!!


――視えたッ!


目を閉じたまま1人にタ―ゲットを固定し、俺は手を開く。

そして――手をわきわきさせながら、

そこにあるであろうおっぱいに向かって飛び込んだ――。


「うりゃああッ!」


――バッシャ―ン!


もみもみもみもみ……(ゴボボッ!?)


な、なんだ……!?


(ゴボボボッ!)


俺は溺れているのか? 意識が遠のいていく……。


「お兄ちゃんっ!?」


むなしく、おっぱい大作戦は失敗に終わった。

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