#8 炎の少女イオとバグだらけの世界

俺達はマグマエリアの坂を登っていき、炎のマ―キュリ―に到着した。

周りを見ると……レンガで出来た建物がぽつぽつと建っている。

辺りを見渡すが、外に出ている人は誰も居ないようだ。


しばらくすると、正面に在るレンガ作りの建物から人影が現れた。


「誰かきたようですわ」


すると、俺達に気づいた人影はこちらへと近づいてきた。


……女の子のようだった。


紅い髪に瞳の少女は俺達を見て言う。


「皆さん始めまして! 炎の町へようこそ!」

「私は、《イオ》といいます! メラメラ……!」


メラメラ??


レアは俺と少女の方を交互に見て。


「もしかして、お兄ちゃんのお友達ですか?」

「まあな」


そして紅い髪の少女は俺達をみて質問をする。


「みなさんの名前はなんていうのですか?」

「俺はハヤト、勇者だ」

「私はリシテアよ。始めましてイオちゃん!」

「わたしはレアっていいますっ」

「コ―デリアですわ」


それを聞いた少女は軽くおじぎをし、


「何のためにここまで来られたのですか?」


そう言った。


「俺達はここにいる凶暴なモンスタ―を討伐しにきたんだ」

「あ! それは鉄の巨人のことですね! メラメラ……!」


……なんだかメラメラしている彼女こそが、

ハ―レム計画に必要な美少女その四だっ。

髪と瞳の色は赤であり、涼しそうな上着にスカ―トを着ている。


胸の大きさは……リシテアよりは少し小さいくらいか。

それでも十分でかいくらいのだが。


情熱的で、とても前向きで明るい性格だ。

あと、いつもメラメラしている。


「鉄の巨人ってのはなんだ?」


俺はそいつの正体を知っていたが、あえて聞いてみた。


「ここのすぐ近くにいるんですよ、とても凶暴で、巨大な鉄で出来た巨人です!」

「凶暴な鉄の巨人……か」

「その巨人のせいで、ここにいる人達はみんな怯えてしまって……」


イオによるとその鉄の巨人がいるせいで、怖くて建物から出られないらしい。


「みなさん! どうかイオと一緒にあの巨人を倒してくれないでしょうか? お願いします!」


女の子が困っているのに助けないわけがないじゃないか。


「勿論だよ、みんなで力を合わせて倒そう」

「本当ですか? ありがとうございます!」


彼女は俺に近づいてきて……ハグされた。

だから、胸当たってるって……。


しかし、もうこういった経験は四度目だから、

胸を当てられても慣れてきている俺がいた……と思ったその時。


「頼りにしてます! ハヤトさん……」


!?!?!?!?


いきなり耳元でささやかれ俺の時は止まった。


◇◆◇◆


しばらくして俺の時が動きだした頃……。


「みなさん、これからよろしくお願いしますね! メラメラ……」


俺達は、鉄の巨人がいるところに歩いていった。


歩いている途中、俺はさっきより異変が進んでいることに気づいた。

俺は辺りを見渡す――、


……さっきよりも樹の数が増えたような?

見間違いか? ……いや、そんなレベルじゃないくらい増えていた。


俺はメニュ―を確認してみる。

システムに不具合があった場合、ログに何かが記載されている筈だ。

異常なメッセ―ジが書かれていないかと思いログをみる。


ログには――

      エラ―


《カロン》で作成した“樹”オブジェクトは《ヴィ―ナス》に

対応していません。不具合が発生中――


      修正中......


隣接するエリア《カロン》《ヴィ―ナス》を1つのエリアに統合させ、

矛盾を回避するようプログラムを実行します――         


      修正失敗.....

           


      致命的なエラ―


ニつの矛盾する属性が一つのエリアに同時に存在している為、

深刻な不具合が発生中――。


      修正中......


      修正失敗......


      別の手段を検索中......


と書かれていた。


《カロン》の“樹”オブジェクトと《ヴィ―ナス》が

同じエリアに存在しているから、矛盾が働いた為、バグが発生ってことか?


……二つのエリアは元々別エリア扱いだった筈だが、

マグマのエリアに樹が生えているという矛盾を強制的に回避するために、

一つのエリア扱いにしようとしているという訳か。


じゃあ《ヴィ―ナス》にが沢山生えていたり、

森に住んでいる小動物が存在しているのはそれのせいか。


そういや――このゲ―ムを制作している時に、

誤って《ヴィ―ナス》に樹のオブジェクトを一つ設置したような覚えがあるような……

それが影響して、二つのエリアが融合しようとしている……のか?

俺はログから戻り、現在のエリア名を確認してみる。


エリア名は《ヴ?―??》と書かれていて、一部文字化けしていた――


俺はだんだん疲れてきたため、考えるのをやめた。


「まあ、いいか―」


いつもどおりだ。


◇◆◇◆


俺はメニュ―を閉じ……難しいことは忘れて、鉄の巨人がいる方向に向かった。

さらに歩いていくと、鉄の巨人が見えてきた。

俺達は、鉄の巨人――を遠くから見つめている。


鉄の巨人はゴオオと雄叫おたけびをあげているようだ。

巨人の周りには、《ロックマン》が、四体いる。

まだ俺達の姿に気づいていないようだ。


――巨人の名は《“鋼鉄”のアイアンゴ―レム》


名前の前に“漢字”が付いているモンスタ―を《ネ―ムド》と言う――


背丈は俺達の5倍程あり、いかにも強そうだ。


《ネ―ムド》は通常のモンスタ―よりも強力なステ―タスを持っている。


その為、非常に強力である――が、


さっきよりもレベルが上がっているし、


俺の装備は序盤に手に入る武器防具より強めだし余裕だろう。


俺達は武器を構えた――—。

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