第4話 風の邪気
「
「……怪しさは校長先生の言う通りあります。調査しましょう」
校長室でそんなやり取りをした後、骸は資料室へと戻っていった。
この件、というのは近頃学校施設、校舎の窓や自転車置き場の屋根、体育館の屋根などが破損を繰り返しており、防犯カメラを見ても何も写っておらずひとりでに壊れているかのように見えてしまうといったことである。
そして破損をしたときには決まってとてつもない強風が学校を吹き抜けているとの情報もあった。
「天気予報にも暴風警報は出ていない。その上で強い風、か」
呟きながら骸は本を読み進める。そうしている内に時刻は夜になった。
「さて、何が出るか」
グラウンドの真ん中に立ち、骸は辺りを見渡す。風は吹いておらず天気予報にも暴風警報はなかった。
三十分程した後、骸の咥えていた煙草の煙がゆらりと揺れた。
「おいでなさったな」
骸が煙草を地面に落とし靴で火を消した瞬間、そよ風だったそれは徐々に強さを増していく。その風が大きな音をたて始めた頃、一枚の窓ガラスが割れた。
「この程度風で割れたのは変だな。差し詰め風の塊をぶつけたか」
骸は辺りを見渡すが異形の様な姿は見えない。
「風に隠れている。……深淵より来たる漆黒の使徒よ、今ここに力宿らん。『骸烏・肆式』」
烏の骸が浮かんだ右腕の手のひらで右目を押える。すると骸の右目に烏の骸を模した紋様が現れる。その目で辺りを見渡し……
「そこだ。『骸烏・弐式』」
黒羽根の剣を空中へと鋭く投げる。その剣は見事に天狗の様な異形を貫いていた。
「肆式の目の前で隠れても無駄だ。風のイタズラにしては度が過ぎたな」
新たに煙草を一本咥えて骸は帰路についた。
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