幼馴染み

「飽きないねえ、お前も」


 あのひとが見えなくなって溜息をついていると、洸太が話しかけてきた。家が近所で幼馴染みで、同じ高校に通っている。幼稚園からずうっと一緒。腐れ縁。だから男も女も感じることがなくて、一緒にいても楽。クラスの男子だとこうはいかない。特に意識する相手でなくても、それなりにどう見られているか気にしてしまう。


「むふふー。今日も元気チャージできましたー。わーい」


 素直に喜びを表すと、呆れたように肩を竦められた。


「付き合いきれんわー」


「付き合ってくれなくて結構ですー」


 くすくすと笑い合う。

 電車の中は混み合っているけれど、窓際の座席を向いて立っていると視界が開けてそれほど窮屈さは感じない。

 赤信号で、ガタンと揺れて電車が止まった。


「きゃっ」


「気をつけろよ」


 ふらついたところを洸太が支えてくれた。


「ありがと」


「ん」


 洸太は幼馴染みで、男も女もないけれど。

 それなり役に立つ。


 そう思って口にしたら、


「サイテーだな、お前」


 って、冷めた目で見られた。


「そんなヤツにはこうだ」


「やだっ。やめてよー。せっかくブローしてきたのにぃ」


 わしゃわしゃと髪を乱された美春は、涙目で洸太を睨む。


「サイテー」


 それを見て洸太はニッと笑った。


「んじゃ、おあいこだな。よかったよかった」


「よくないよぅ」


 手櫛で髪を直す美春を見て洸太が笑う。ぽすんと腕にぐーパンチをすると、大袈裟に痛がって美春を笑わせる。


 ほんとにもう。子供なんだから。

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