13 死と破壊、最終決戦2

 全身を、激痛が駆け巡る。


「くっ……!」


『死神の黒衣』はずたぼろの布状になって体に張り付き、その下に来た騎士学園の制服が露出した状態だ。


 さらに──、


「ヴェルザーレが!」


 驚愕する。

 今まで、あらゆる敵を打ち倒してきた無敵の槌が。


 俺の愛用の得物が。


 打突部や柄に、無数の細かい亀裂が走っていた。


「ほう、体は無事か。槌の方も、さすがにクラスS神器だけあって『消滅』とまではいかないようだな」


 リオネルがうなった。


「消滅だと……!?」

「そうだ、私のクラスS神器『ジャハル・バージェス01』の第一特性は、効果範囲の物体を完全消滅させること」


 俺の問いに答えるリオネル。


 わざわざ神器の特性解説とは、余裕たっぷりだ。


 だが、確かにリオネルの神器は強力だ。

 俺のヴェルザーレで対抗できるだろうか。


 これまでの敵とは、明らかに格が違う──。


「本来の効果なら、その『衣』系神器だけでなく、君の肉体自体も消え去っていたはずだが──やはり、不完全ながらも『次なる段階』に目覚めつつあるせいか」


 ……なるほど。


 奴の神器の特性は、無敵の攻撃能力に思える。


 だが、俺のヴェルザーレの第二特性がガストンに通じなかったように、奴の特性も俺には完全には通じない。


 俺も『次なる段階』の力を宿しつつある影響で。


 ならば、そこを突破口にして戦えるかもしれない。


    ※


 SIDE 神界



 草原の上に、いくつかの人影がたたずんでいた。


 いや、正確には──それは『人』影ではない。

 そこに在るのは、いずれも神だ。


 神々の住まう世界──神界。


 その一区画である。

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