25 限定解除

 ジークリンデの背後からの一撃は、アーベルの背中から胸を確実に貫いていた。

 その途中にある、心臓をも。


「く、くっそぉぉぉぉぉぉっ……お前らごときに、俺がぁぁぁぁぁぁっ……!」


 アーベルが怨嗟の声を上げる。

 貫かれた鎧がボロボロと崩れていく。


「ぐ……がが……が……ぁぁぁ……!」


 アーベルの怨嗟の声が、苦鳴に変わった。


「くそ、これくらいで……俺は……! もっと力を……力をよこせぇぇぇぇぇ……!」


 ――ぞくり。


 レナは背筋が粟立つのを感じた。


 今の連携攻撃で勝負はついたものだと安堵していた。


 だが、違う。


 むしろ、ここからが始まりなのだと――。


 真の恐怖はここから始まるのだと、レナは予感していた。


『了解しました』

『機能限定の解除を行います』

『180秒間、装着者の能力を30%上昇させます』

『代償に精神崩壊の危険性が大幅にますため、留意ください』

『限定解除、開始』


 アーベルの鎧からそんな声が響く。

 そして次の瞬間、


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!」


 アーベルが吠えた。


 獣のごとき咆哮だった。


 ぼこっ、ぼこっ、と鎧の各所が筋肉のように隆起する。

 首元の鎧が変形し、伸び、仮面のようになってアーベルの顔を覆った。


 狼のような形をした仮面だ。


「な、何……これ……!?」


 レナが戦慄する。

 ターニャやジークリンデも息を飲んで立ち尽くしていた。


「ははははははは! こいつはいいぜ! 力が湧いてきやがる! さっきの傷も、もう痛くねぇ!」


 アーベルは歓喜の雄叫びを上げた。


 狼の仮面越しに、充血した赤い目でレナたちをにらむ。


「お返しさせてもらうぜ。軽く、な」


 アーベルが疾走した。


 速い!

 先ほどまでを圧する速度だ。

 レナも、ジークリンデやターニャも、誰一人その速度に反応できない。


「きゃあっ!?」


 駆け抜けたアーベルの放つ衝撃波に、三人とも吹き飛ばされた。







***

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