第12話 スキル
「いやー、まさか青川ちゃんが会社にいた二人のうちの一人だったとは。来てよかったー!」
「白崎先輩、うるさいです。」
「喜ぶのもいいが、まだオーガは一体残ってるんだからな?しっかり緊張感は持っておけよ。」
青川と会ってから、しばらく時間がたつと親父と白崎の二人と合流できた。見たところ、けがなどはないし、元気そうだ。
「そういえば、道中何の問題もなかったか?」
「あー、黒野の親父さんが、モンスターの群れに突っ込んで壊滅させたことを除けば、基本的に何もなかったかな。そん時は滅茶苦茶焦ったけど。」
「それはすまん。親父の代わりに謝っとくわ。まぁ、親父もピンピンしてるし、基本的には何もなかったってことで。よかった。」
「どうかしたか?」
自分のこととはつゆ知らず、何事かと親父が聞きに来た。
「親父がバカやらかしたって話を聞いてただけだよ。」
「なっ、何のことかな?白崎君をほっぽり出して、ゴブリン15匹の群れを壊滅させに行ったことなんて知らないぞ?」
「事細かな状況説明ありがとう。別に怒ってるわけじゃないから、気にしないでくれ。親父、レベルは上がったか?」
「おぉ、レベルは3上がって、14になったぞ!」
「じゃあ、何かしらスキルは取らないのか?」
「二個ほど既にとったぞ。いやー、自分がこんな世界にいるのを実感するなぁ。」
「なんのスキルをとったんだ?」
「当ててみてくれ!」
「えぇー、めんどいなぁ。」
この親父はいっつもこんな感じの、ガキみたいなテンションしてるから相手してると疲れるんだよなぁ。
〈マスター、[鑑定]スキルの実験をしてみては?レベルが上がったので、普通のスキルぐらいなら鑑定できるはずです。〉
まじか、そういえば上がってたなぁ。じゃあ、取り敢えず【鑑定】。
名前:黒野響 種族:人
Lv:14 次のレベルまでの必要験値:29
SP:50
HP950/980 MP56/56
STR:122
DEF:98
INT:56
RES:70
DEX:56
AGI:84
LUC:54
【スキル】
家事(II) 剣術(VII) 挑発(I) 魔力操作(I)
HPが若干減ってるのはゴブリンの群れに突っ込んだからだろうな。それで、SPで取ったスキルっぽいのは、ふむ。
「親父がとったのは、[挑発]と、[魔力操作]だな。」
「な、何故分かった⁉」
「鑑定でちょちょいとね。それにしても、何で[魔力操作]なんてとったんだ?」
「くっ、俺も鑑定取ろうかな…。[魔力操作]に関しては、テンプレはちっちゃいときに、魔法が使えないからーって、魔力操作をしてるところから始まるだろ?」
「いや、知らんが。しかも、この世界普通に魔法使えるしな。」
「それでも、やっぱりテンプレって大事だと思うんだよ。うん。」
〈魔力操作は、使い方次第では便利ですが、大体別のスキルで代用が効きますし、別に必要ってわけでもないんですよね。〉
ナビゲーターさんから辛辣なお言葉をいただきました。で、具体的にはどんなスキルなので?
〈魔力を実体化させて操り、壁にしたり、足場にしたり、あとは物を持ったりできるスキルですね。〉
それだけ聞くと、便利そうなんだが。
〈全部、別のスキルでできるんですよ。壁なら、[結界魔法]とか、足場は[空歩]とか、物を持つなら[サイコキネシス]とか。しかもそれぞれが一個一個に特化しているので、使いやすいです。〉
ほぉー。やっぱり色々スキルはあるんだな。いくつぐらいあるんだ?
〈それは、可能性の数だけあるとしか答えられないかと。まぁ、天文学的数字ですね。〉
まぁ、元々こっちに有った技術だけでかなりの数があるはずなのに、魔法とかよくわからないモノまで増えてるからな。しかし、なぜ急にこんな世界になったのだろうか。
俺の飲んだよくわからない栄養ドリンクも関係あるのだろうか。
うーん、分からん。
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