第7話 職場を目指して?
「おい、どうした。滅茶苦茶強くなってるじゃないか。」
「確かに、今までよりしっかり親父に食らいつけてる気がするよ。」
実家に来てから一夜が明け、会社のほうを見に行く前に一回親父と手合わせをしていた。
「もしかして、それもレベルアップの恩恵か?いいなぁ、俺もチートほしいんだけど。」
「この辺のモンスター狩りでもしてみたらどうだ?」
「確かにな、あ、いいこと思いついたんだが。」
「なんだ?」
「俺、武の会社行くときついていくわ。」
「まじで、親父もついてくんの?」
俺の周りモンスター来にくくなってるんだけどどうしよう。
〈あ、マスター、モンスター近づいてくるようになる方法教えるの忘れてました。〉
あぁ、そういえばそんなこと言って気がするな。で、どうすればいいんだ?
〈答えは簡単!オーラを消すんです。なんというか、水道の栓をきゅっと閉め切るイメージです!〉
なるほど分からん。どういうことだよ、栓をきゅっと閉めるといわれても。
〈じゃあ、別の方法を試しましょうか。SPを使って、[気配隠蔽]のスキルを獲得してください。そのスキルを発動させておけば大丈夫だと思います。〉
なんか、ステータスとか、スキルとか、称号とか、全部
〈因みに、そのスキル、最初は視界内に居たら気づかれますが、レベルを上げていくと、よっぽど勘が鋭いか、ソナーのような方法でないと気づけなくなります。そのため、普段の生活での使用は厳しくなるんです。仲間との連携が取れなくなって島ますからね。だから、なるべく早くオーラを消せるようになってくださいね。〉
そうなのか、まぁしばらくはそんなレベルまで上がってしまうことはないだろうし、気楽にいこう。
そんなこんなで親父が一緒に来ることになった。
♢♢♢
「来たぞ、逃がすつもりはないが、万が一に備えておいてくれ。」
俺と、親父と、白崎は会社に向け道を進んでいた。その中で、また新たなモンスターと遭遇し、戦っているところであった。ナビゲーターによると、名前はオーク。まぁ、これもテンプレといえばテンプレである。豚みたいな頭の化け物で、スペック的には完全にゴブリンの上位互換。一撃のパワーと、耐久力が売りのモンスターだ。
ゲームなどによっては食べられる、なんてこともあるらしいが、肉や油にはとんでもない臭みがあり、食べられたもんじゃないらしい。
ただ、食料ではなく、燃料としての活用ができるようで、ライフライン関係が心配になってくるこのご時世には都合にいい相手かもしれない。
「かてぇ!レベル1で戦った時のゴブリンのほうがまだ柔かったぞ。」
〈マスター、それはしょうがないですよ。オークは分厚い脂肪があるため、刃がしっかりと相手をとらえにくく、ダメージが通りにくいんです。なので、剣などでの討伐は向かないんですよ。〉
「頼むからそういうのは先に言ってくれ!」
「どうしたんだ?急に叫んで。」
「あぁ、親父、こいつにうまいこと刃が入ってなくて、ダメージが与えにくいんだ。」
「ふむ、一回俺にやらせてくれ。」
そういって親父はオークに近づくと、
「̪シッ!」
一太刀でオークの首を切り飛ばした。
『レベルが上がりました。』
『レベルが上がりました。』
『レベルが上がりました。』
『レベルが上がりました。』
『レベルが上がりました。』
「おぉ、これがレベルアップか。」
「あれ、俺も上がった。俺が倒したわけじゃないんだが。」
〈経験値は基本的に、戦闘の終了箇所周辺の頭数で割られます。つまり、遠距離からの攻撃だと、しっかりと手順を踏まないと経験値は入りません。その手順というのが、魔力を込めて攻撃、なのですが、この世界の住人とはもともと関係のなかったものなので、できている人は少ないですね。〉
もしかして、それが原因で俺が最初にレベル10到達だったってこと?絶対俺より先に、倒しまくってる人はいるだろうし。軍人とか、自衛隊とか、警察とか。
〈そうですね。この世界は遠距離武器が発展しているため、モンスターの討伐のほとんどがそれを用いて行われているみたいです。しかし、そのために経験値はほぼ捨てられているに等しい状態なわけです。〉
へぇ、でも何でふつうは遠距離だと経験値が入らないの?
〈経験値、と銘打ってはいますが、その正体は魔物を構成していた魔力なんです。それが、倒されたときに周囲にばらまかれます。しかし、魔力は近くの魔力だまりに引き寄せられるのです。その魔力だまりが、生物であったり、ダンジョンだったりするのです。魔力というのは、存在するための力そのものです。それを取り込むことで力が強くなるのです。〉
へぇー。そういう原理だったのね。
〈 で、遠距離からだと、攻撃に魔力がこもっていない限り、引き寄せるのが難しいので、魔力を込めた攻撃で、魔力の通り道を作ってあげる必要があるんです。〉
へぇ、ていうか、近くにいればレベル上がるんだったら、あいつもすぐレベル上げれる?
そう思いながら指し示すのは、白崎のほう。
〈そうですね。生産職とはいえど、ステータスは必要ですし、スキルもとる必要がありますから。あの方のレベリングも必要でしょう。〉
よし、パワーレベリングのお時間だ。
白崎を連れまわしまくることが確定した瞬間だった。
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