第8話 黒歴史が襲い掛かる
1
「あぁー」
ベッドの上でのたうち回りながら、未夜は叫んでいた。
「うぅー」
子供だから許されていた生意気な態度やおてんばな行動、それらを大人になってから思い返してみると、顔から火が出そうになる。
今の未夜は活発な方ではない。むしろ人見知りで、学校ではおとなしい真面目ちゃんとして通っているし、それが素の性格だと自認している。
だからこそ、昔のことを客観的に見ることができる年齢となった今では……
「うわぁーーーっ!」
真っ赤に燃え上がった顔を枕にうずめる。
足をばたばたさせ、未夜はこれでもかというほど羞恥心を味わっていた。
じっくりみっちり、過去の黒歴史に悶絶したところで、我に返る。
「うぅ」
有月が帰ってきたこと自体は喜ばしいことなのだ。十年間一度も帰ってこなかったことに怒りが湧かなかったといえば嘘になるが、今さらそんなことを言っても何もならない。素直に喜ぶとしよう。
「十年ぶりの、勇にぃ」
駅で有月とぶつかった時は、本当にびっくりした。
十年前、彼の上京を見送った時とほとんど変わりない姿に、一瞬で胸が高鳴った。しかし、向こうはこちらに気づかなかったようだ。
財布を落としていたので、届けたけれどその時も気づいてもらえなかった。
そもそも、彼は私のことを憶えているのだろうか。
小学生から高校生に成長したのだから、気づかないのは百億歩譲ってありえるとしても、忘れているなんてことはないだろう。
引っ越しをしてお隣さんではなくなったが、〈ムーンナイトテラス〉には今でもちょくちょく顔を出している。
明日〈ムーンナイトテラス〉に行って、
『勇にぃ、帰ってきたんですね。久しぶり!』
そう伝えればすべては一気に解決するのだが……
「むりむりむりむりむりです」
えげつない黒歴史と、内向的な性格が邪魔をする。
つまるところ、勇気が出ないし恥ずかしい……
(自分から言うなんて、絶対むり)
でも、なんとか接点は持ちたいし……
「向こうから、気づいてくれないかなぁ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます