第138話「目標達成」

「そちらも終わりましたか」


 戦闘を終えたらしいカレンたちが戻ってきて、こっちのドロップを見る。


「嘆きの砂と呪いの呪文書が出たんだよ」


 と言うとティアが目を輝かせた。


「両方とも俺がもらっていいか? それとも呪文書を分けようか?」


 俺はカレンとサラに聞く。


「あなたがたが手に入れたものですし、わたしたちにその呪文書は不要でしょう」


 サラは首を横に振って断る。

 カレンはすこし考えてから、


「これだけ早いとなると、あなたたちは何かドロップ率アップ対策をしているのですか?」


 と質問した。

 まあ隠せないよな。


「そのとおりだ」


 素直に認める。

 隠そうとしても無駄だし、サラやカレンに不信感を持たれるだけだろう。


「わたしとティアのことを優先してくださったと解釈しても?」


「もちろんだぞ」


 サラの探りを力強く肯定する。

 ドロップを優先したいならジーナとふたりで来ていた。


 ふたりだけなら羽のペンダントで自由に移動もできるんだから。


「ありがとうございます。お礼はいつか」


 とサラが言う。


「楽しみにしているよ」


 俺はゆるい感じで答える。

 サラは真面目で義理堅いので、そのうち返してくれるだろう。


 俺が期待している形で返してくれたら最高だ。


「ではあとは戻るだけですね」


 とカレンが言ったので、


「そうなんだが錬成師も俺たちは探す必要があるんだよ」


 と苦笑する。

 当たり前だがこの国の人間にツテはない。


 帝国でだって探す必要があったのだ。

 ……いっそのこと自分でタマゴを探して育てることも考えたほうがいいか?


 それだったら探したり紹介される手間も省ける。

 裏切りのリスクさえ何とかできるなら、やったほうがいいことだ。


「錬成師ならわたしが紹介できますよ。騎士団のつき合いがありますから」


 とカレンが言う。

 意識を戻して、


「わかった。じゃあ紹介してくれ」


 と頼む。


「わかりました」


 カレンはうすく笑う。

 ティアとサラが世話になってる分を取り戻せた、とでも思ったのかもしれない。


 彼女もサラと同様に真面目で義理堅いタイプだから。

 地上に戻る際も戦闘があり、順番に倒して行った。


 念のため休憩を挟んだのはカレンらしい慎重さと言えるだろう。

 帝都まで戻ってきたところで、


「ではわたしとティアはここで別れますね」


 とサラが言い出す。


「そのほうがいいですね」


 カレンも認めたので俺は小さく手を振ってくるティアに振り返し、ふたりを見送った。


「では錬成師のところまで案内しましょう。ついてきてください」


 とカレンは俺たちに言ったので、彼女のあとをついていく。

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