第131話「ラサ遺跡③」
「敵が出たのでしとめてきます」
とジーナは言って二体のミイラを倒してすぐに戻る。
「これだけ速かったら、陣形崩さないでと注意をできませんね」
とカレンが苦笑した。
「大事なのは臨機応変に動くということだ」
俺はもっともらしいことを言ってみる。
規律は大事だけど、柔軟性だって必要だ。
ウソはついてない。
二階になるとミイラの数は減り、スケルトンの割合が上がる。
「スケルトンが持ってる武器って、どこから調達したのかな?」
とティアが戦闘後に疑問を口にした。
「死んだ探索者のものを使ってるのでは?」
サラがシビアなことをさらっと言う。
「あっ」
ティアがハッとし、次に顔から血の気が引く。
その点について考えが及んでなかったのか。
原作じゃはっきりと書かれていたわけじゃなかったが、サラが言ったとおりなんじゃないかと俺も思っている。
普通のダンジョンにモンスターの武器を作成する機能なんてあるはずないし。
じゃあ大昔、スケルトンは武器を持ってなかったのか?
なんて疑問がわくが……考えたところで答えが出るはずもなかった。
「いまのところ敵のラッシュはないですね」
とジーナが珍しくカレンに話しかける。
いまのメンツで一番怖いのが敵のラッシュだもんな。
数だけはいるが、連携が未熟すぎてラッシュをさばけるとは思えない。
「ええ。五階くらいまでは心配いらないと思います」
とカレンはうなずき、
「わたしたちがご一緒しているのは、そういう理由もあります」
説明をつけ加える。
「危険度が高いダンジョンだったらついてこないか。当然だな」
と俺は笑う。
俺たちはべつに運命共同体じゃないからな。
すくなくとも今のところは。
ジーナは感情を殺した目で三人を観察してる。
まあこいつだって三人を仲間だと思ってる可能性はなさそうだ。
あまり言わないでおこう。
二階層はカレン→サラ→ティア→俺→ジーナのローテーションで敵と戦う。
「この分だともうすこしサラとティアの戦闘回数を増やしてもいいかもしれないな」
と俺はひとりごと半分、提案半分のつもりで言った。
「そうですね。油断はできませんが、おふたりが同時に戦うというのはいい考えですね」
カレンは反対するかと思ったが、あっさりと賛成する。
「いいの?」
と目を輝かせたのはティアだった。
サラがため息をつく。
「ラスター殿とカレンのふたりが言うのだから、やってみましょうか」
彼女は仕方なさそうに言った。
もしかしたらティアはやりたがっていたが、サラが反対していたのかもしれない。
危ないことをさせたくない気持ちはわかるし、危険があればカレンも反対するはずだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます