第56話「ファイアエレメント」
ファイアエレメントは見た目は手のひらサイズの火の玉だ。
「精霊種」に分類されるので厳密にはモンスターとは言えない。
だが、ファイアエレメントのような「下級精霊」は基本接近したら自動的に攻撃してくるので、モンスターと変わらない扱いをされるのも納得だ。
自我や知性が芽生える「中級精霊」からは、敵対行動をとらないかぎり攻撃されないのでモンスターと分けて考えられる。
今にして思えばけっこう面倒くさい分類方法かもしれない。
「下級精霊」はそれぞれの属性の力が強い土地でひょっこり出現すると言われている。
ここのダンジョンの名前が火のほこらと呼ばれるのは、火の力が強くて火の下級精霊が生まれやすいからだろう。
第二階層に入ったところで一体のファイアエレメントと遭遇する。
「サンダー」
レベルが上がっているおかげで、一発の魔法で仕留めることができた。
意外に思ったものだが、弱点の水属性じゃなくてもわりとダメージが通る。
あくまでも下級精霊はの話だし、精霊はゴーストと同様物理ダメージは受けにくいんだが。
ファイアエレメントは性質が性質なので、出現がわりとランダムで読みにくいのが厄介なところだ。
「あるじ様」
ジーナが持ってきたのは火の精霊石だった。
「お、幸先がいいな」
ファイアエレメントを狩る理由の多くがこいつだからうれしい。
「おめでとうございます」
俺が喜ぶとジーナが祝福してくれる。
「低レベル踏破ボーナスを考えたら、とにかく遭遇しないことを祈ってこのまま最下層まで一気に行くのが正解だな」
と言うとジーナはこくりとうなずく。
「頑張って次への階段を探します」
なんて彼女は言う。
実のところ「アサシン」だとそんなスキルは覚えられないんだけどな。
職業とは関係ない、本人の資質だとありえるのかもしれない。
とりあえず意気込む彼女に任せてみると、まっすぐに第三階層へとたどり着く。
「すぐに第三階層についたな。大したものだ」
「ありがとうございます。恐縮です」
ジーナの優秀な案内っぷりを褒めると彼女はうれしそうに尻尾を振る。
忠犬が喜んでいるさまを連想させてとても可愛い。
そして俺たちは正面の通路をまっすぐに進んでいき、ファイアエレメント一匹を俺がアクアショットで仕留める。
「あるじ様、火の宝石を拾いました」
ドロップアイテムを拾ったジーナがそう報告した。
「火の宝石か。売却だな」
原作をやった時名前に騙されたんだが、火の宝石は使い道がない。
そして売値も大して高くないアイテムだった。
まあこっちの世界だと使い道があるのかもしれないが、見つけたらその時考えよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます