第35話「称号【早成】」
測定ブローチでステータスを確認してみる。
「ラスター、レベル15、メイジ、プレコ、称号タイムアタッカー、不定形生物狩り、早成」
と表記された。
「おお、早成が出たか」
ここでこんないい称号が手に入るなんて、うれしい誤算だな。
やっぱり原作と変わっているとしか思えない。
「早成ですか」
ジーナは知らなかったらしく不思議そうな顔だ。
「簡単に言うと成長速度が速くなるものだな」
早成はスキル熟練度と経験値の獲得量が1.3倍になる。
この称号が素晴らしい点は、他の称号・スキルの効果と重複するところだ。
称号やスキルはアイテムや装備以外と重複しない場合がわりとあるからな。
タイムアタッカー、プレコ、早成の効果をあわせると、1.2倍かける1.1倍かける1.3倍だから……ええっと、いくつだ?
とりあえず目的のために大きく前進したことはたしかだった。
「あるじ様、今日このあといかがなさいますか?」
ジーナが問いかけてくる。
「今日は引き上げよう。まだ無理をする状況じゃない」
「御意」
彼女は素直にうなずいた。
俺が王国の学園に入学するまで、後は三年ほど時間が残っている。
すでに原作で主人公と戦った時のレベルに到達しているんだから、一つのチェックポイントは通過したか。
もちろん満足するつもりはない。
まだまだ序盤なのにこんなに順調なら、いっそ世界最強を目指すのも手だ。
普通にやったら当然ラスターが世界最強になれる可能性はない。
だが、それくらいのつもりで頑張っていれば、俺の死亡フラグも回避できるだろうし、帝国は滅んだ時の身の振り方も考えやすくなる。
いいことずくめだ。
「あるじ様、マッサージをいたしましょうか」
城の自室に帰還すると、ジーナが提案してくる。
「おっ、いいな」
たまにはリフレッシュもいいだろう。
知らない設定だけど、ラスターの知識はジーナはマッサージが上手いとある。
「じゃあ頼む」
せっかくなんだから体験させてもらおう。
「ではベッドに移動なさってください」
ジーナに言われるがままベッドに乗ってうつぶせになる。
「疲れているところはございますか?」
と彼女に聞かれた。
どこが疲れているかと言えば、やっぱり足だろうな。
慣れない馬での移動、ダンジョン内部を歩き回っていたんだ。
元々勤勉じゃなかったラスターの体はそろそろ限界だろう。
おそらくだが、ジーナもそう考えたからマッサージを申し出てきたのだろう。
「足を中心に頼む」
「かしこまりました」
ジーナはやはりという気持ちをにじませた声をあげ、さっそく行動に移す。
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