第34話「ヌルヌル回廊踏破」

 ロックバードの巣へ挑戦する前に、ヌルヌル回廊の踏破をやっておこう。

 レベル15だとまだそんな高くないので、ボーナスがもらえる可能性がある。


 早いところ知ってるダンジョンに挑戦したいものだ。

 そのためにも力をつけないとな。


「今日はヌルヌル回廊踏破を目指そう。ここも第四階層しかないみたいだから、可能性はあるはずだ」


「御意」


 ジーナは静かなる決意を瞳にたたえてうなずいた。

 第一階層の左から進んでスライムを最初にジーナが撃破する。


 ちらりと見るが周囲に敵影はなく、彼女の警告もないなら問題はないだろうと奥へと進む。


 どんどん進んでいくが、第二階層についた時スライムを倒したのは二匹だけというのは少し変だ。


「ジーナ、敵の出現頻度がおかしいと思わないか?」


「そうですね。後二、三匹と遭遇しても不思議ではないはずですね」


 背中から問いかけるとジーナは足を止めて同意する。


「ですがあるじ様のスキルが原因ではないかと」


「俺のスキルか」


 不定形生物に有利なスキルが警戒されるようになったか?


「あれってもう効果あるのか」


 もっとスキルを成長させなきゃ自動発動にはならないと思っていたが。


「おそらく最下級の不定形生物に、多少効果があるのではないかと」


 ジーナは遠慮がちに意見を言う。

 それだったらスライムとの遭遇数がゼロにはならない理由になるか。


「ありえそうだな。いい助言だ。感謝する」


 原作知識にこだわっていたら見落としていたかもしれない。

 その点をジーナがフォローしてくれたんだから、礼を言わなければ。


「恐れ入ります。ふたしかな意見をお聞き入れいただき、私のほうこそ御礼申し上げます」


 ジーナは恐縮してぺこりと頭を下げ、ていねいに感謝してきた。

 気にしなくてもいい、というわけにはいかないんだろうな。


「これからも期待する。励んでくれ」


「御意」


 ジーナはうれしそうに尻尾を揺らして返事をする。

 第二階層に入ったところロドケーテが一匹、スライムがやってきた。


「ジーナ任せた」


「御意」


 これならジーナ一人で充分だと任せる。


 彼女一人にやらせると経験値があんまり入ってこないけど、今はレベルアップしたくないからな。


 経験値を稼ぐなら踏破した後でもできるので、ここはレベルアップしないことを優先する。


 第四階層までは特にかわりばえなく、二種類のモンスターとしか遭遇することなく最奥までたどり着いた。


 そして白く発光する魔法陣の上に乗って、二人でダンジョンの外に飛ばされる。

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