数多くある投稿作品が存在する中、読み初めてすぐに作者さんの文字への敬意に胸のすくような清涼感を覚え、思わずこちらが居住まいを正したくなるような素敵な文章というのはなかなか巡り合えるものではありません。
思わず舐めるように文章を読んで景色を頭に浮かばせ、次の話、また次の話へと物語を進めてしまう勿体なさと、キャラクターの魅力にぐいぐいと引きずられてしまうため目を引き剥がせない葛藤を戦わせながら読ませていただきました。
話の筋としてはよくある、落ち目の男が奴隷の少女を買ったことから切っ掛けに転がり始めるという展開なのに、こんなにひたすらに読ませるのは作者さんの人の世に見捨てられようとしている、下り坂の人間に対する愛の注ぎ方のあらわれだと思います。
世の中にファンタジー小説は数あれど、キャラクタが魅力的で、かつハードボイルドな物語はなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。
主人公は、タイトルどおり「酔っ払い盗賊」。取るに足らない存在だったハリスは、ある奴隷との出会いでその生き方を大きく変えていきます。
物語の骨子はある意味で「王道」なのですが、脇を固める魅力的なキャラクタたちの造形が秀抜で、王道ゆえに目が離せない。そしてどこかハードボイルドな空気が漂う筆致が、物語に深みを与えています。
色々書いてしまいましたが、伝えたいことはひとつだけ。
──文句なしに面白い!
素晴らしい物語を、ぜひ読んでみてください!
もったいないですが、一気読みしてしまいました。→実際には数日かかりましたけど。読むのが遅いので当社比です。
強面な盗賊と健気な奴隷少女のお話です。呑んだくれたオッサンが、少女と出会うことで運命を切り開いていきます。シニカルな言動とは裏腹に、実は優しいオッサンは様々な人を惹きつけて、いつの間にかハーレム状態に……
ヤンデレ、サバサバ系、健気系と様々な美女たちに囲まれますが、モテるって苦労するのですねぇ。勉強になりました。
でも本当に勉強になったのは、少女のけなげさです。人を思う気持ちは、全てを良い方向に変えていくのですね。私自身は呑んだくれのオッサンですが、この物語を読んで、少女の良い所を実生活にも生かせればと思いました。
とりあえずこの物語はハイファンタジーかローファンタジーなら確実にローファンタジー。
うちは勝手にローファンタジーの定義を主人公の思考=嗜好 含めて『現実世界の大衆=俺ら にどれほど依っている=感覚が近いか?』と定めてるけど、この物語はそれに120%合致した!
ハイファンタジーでよくある主人公の世界をナメた思考=嗜好 や、ご都合主義もなく、堅実な主人公になんかホッとするし、ローファンタジーでありがちな緻密な設計による戦記物語ではないゆえに読みやすい(読みやすさは作者様の力量によるものが大半だとは思うが)のも好感触。
地に足がつきすぎてる主人公が働き盛りで現実を知って夢を見なくなった自分らと被って妙に共感しちゃうんだよなぁ。
加えて相方たる奴隷の女の子が甲斐甲斐しくて、思わず応援したくなる!
作者様を差し置いて脳内で勝手に主人公とその女の子のハッピーエンドを妄想するくらいには沼にハマりましたわ!