第7話 結婚前夜

 わたしはさおりんと明日に結婚することになった。教師として三年が過ぎ、さおりんは看護師の資格だけとりニートではなく、家事手伝いに勤しんでいた。


「結婚したら働く」


 普通は逆だと思うがさおりんの言うことである。式が決まったらハローワークに通い始めた。


 ホントにさおりんらしい。


 わたし達は近所にアパートを借り来週にも入居であった。さおりんと付き合いだしたのは高校二年生の秋であった。そう考えると長い付き合いである。


 独身最後の晩は友達と呑んだ後で、独りで星空を眺めていた。慣れない呑み会の余韻に浸かりながら夜道を散歩である。昔を思い出していると、わたしはさおりんの消えた十日間で素直になれた。あの騒動が無ければ今でも友達だったかもしれない。


 ゆっくりと歩く片隅に紫陽花が咲いている。何故、ジューンブライドなのであろう?それはさおりんの強い希望であった。


 さて、酔いも覚めてきた。わたしは自室に戻る事にした。あー、引っ越しの整理がまだ途中だ。


 そう言えば、プロポーズは何時したっけっか?


 確か……家事手伝いに飽きたから共働きをしたいとさおりんに言われて……。


「良し、六月に結婚だ!」などであった。


 でも、その前にわたしから言った記憶がある。


 ……。


 思い出せない……。わたしが斜めに首を傾げると。そうそう、さおりんが消滅して帰ってきた日だ。精魂が尽きたあの日にプロポーズをしたのだ。


 大人になって結婚が現実味を帯びてからは……。ま、相手がさおりんだ。問題なかろう。


 わたしは家の灯に近づき独身最後の晩を終えるのであった。

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義足のボーイ・ミーツ・ガール 霜花 桔梗 @myosotis2

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