第4話 ただ妹が最高なだけの話


 リビングのソファーに寝っ転がりながらスマホをいじる。

 スマホで何をしてるかって?

 それはだな……

 男子高校生 彼女作る方法

 で調べてたんだよ。

 男子高校生はみんな彼女が欲しいからな!

 入ってた部活は廃部になったし入りたい部活はないし、今が青春するチャンスじゃない?

 

 ふむふむ……爽やかで清潔感がある、行動に余裕がありスマート、優しくて話しやすい雰囲気が三つのポイントか……。

 心にとめておこう。

 

 

「お兄、ママたち帰るの九時過ぎだってー。ってかまだスマホいじってるの?」

 悩んでいると二階から妹が下りてきた。

「了解。ってか…あれ、今何時?」

「自分で見ろ」

 体を起き上がらせて壁にかかっている時計を見る。

「妹は今日も冷たいなぁ」

「…………」

 え、無視?

 まぁ、妹は中学生だし…しょうがないか。

「ってかスマホで何してるの?」

 そう言って俺のほうへ近づいてくる。

 ダメだ!

 こんなのを妹に見られたら……。

『えwちょっwwお兄彼女欲しいの?wwお兄に彼女とかw絶対無理でしょww』

 みたいなこと言ってバカにしてくるんだろうなぁ。

「って、おい心春こはる!勝手に人のスマホとるな!」

 俺の右手からひょいっとスマホを奪う。

 そういえば。

 俺の妹の名前心春って言うんだよ。

「なになにー……うわお兄、彼女欲しいの?」

「………そうだよ!お兄ちゃんはそういうお年頃なんだよ!」

 見られた。

「………うわぁ……どんだけお兄彼女欲しいの?ってか履歴やばっ」

 スクロールしながら言う。

 そしてこちらを冷たい目で見てくる。

「履歴っ!?おい、返せ!」

 俺は手を伸ばすが妹はそれをかわす。

 やばい、これ以上履歴を見られたら……。

「え…お兄……」

「返してください」

「えっちな動画どんだけ見てるの?」

 ごみを見るような目で見てくる妹。

「返してください」

「へ、へー。お兄ちゃ…お兄こういう人がタイプなんだ……胸大きい……」

「ああああ!!!(絶望)」

 顔を赤くしながらスマホを見ている。

 妹に見られるとかもう生きていけない。

「おい、やめろ。中学生には毒だ!」

「私にも…このくらい胸があれば……」

 自身の胸元を凝視する妹。

「もう返してください!何でもしますから!」

 お兄ちゃんは泣きそうです。

「ん?今何でもするって言ったよね?」

 まさかの模範解答!

「……」

「いや、黙んないでよお兄」

「……」

 俺は何をされるのか。

「お兄」

「はい」

「えっちしよ」

 沸騰するんじゃないかと思うくらい顔を赤くしてる妹。

 ってかあいつ今なんて言った?

「…は?」

「だから……妹として!お兄の欲求をっ!」

「おい、心春いったん落ち着け!これはカクヨム甲子園に応募してる小説なんだ。だからそういうシーンは…」

「え、お兄ちゃん何言ってるの?」

「いや、それお前に今一番言われたくなかった台詞!」



「さっきは…その…ごめんなさい」

 ソファーにちょこんと座りながら謝る妹。

「あ、うん…別に…」

 妹がえっちしよ!とか変なこと言いだしてから5分くらい経った。

「心春、もっと自分の体を大切にしなさい!」

「毎日三回ヌいてるお兄に言われたくない」

「…なんでお前知って、はっ!」

 言いかけてから気づき口を閉じる。

 ってかなんで知ってるんだよ。

「………落ち着いたか?」

「最初から落ち着いてるし!」

「嘘つくなよ」

「そういえば凛くん元気?」

 話し変えやがった。

「元気だな。部室で毎日寝てるし」

「部室……え、お兄…部活入ってたの?」

 驚いた顔で言う。

「入ってた」

「なんで過去形?」

 突然、頭の中で鎌倉先生が言った言葉が思い浮かぶ。

 『この前の職員会議で、青春を謳歌する部は廃部ってことになった』

「ん?…どしたのお兄?」

「あー悪い。入ってた部活がおととい廃部になってさー!」

「へーだからか」

「なにが?」

「お兄ずっと暗い顔してたから」

「そうか?」

「うん」


「お兄ちゃん、次何部に入ろうかなー!」

「別に入らなくてもよくない?」

「うちの学校は部活入らないといけないんだよ」

「お兄って入ってたその部活好きなの?」

 なんだよいきなり。

「うーん…」

 部室での出来事を思い出してみる。

 部室のドアを開けると漫研みたいで。

 当たり前のように三浦先輩がギャルゲーやってたり、部長がすげーリアクション取りながらゲームやってたり。

 凛は部室に入ったと思えばロッカーから寝袋取り出して寝る準備するし。

 鎌倉先生はタバコ吸ったり酒飲んだりしてるし。

 思い出すだけで頬が緩む。

 すげー楽しかった。

「いきなり、ニヤニヤしだすとか…お兄キモー」

 俺の隣に座ってた妹が体一個分くらい離れた位置に座る。

「う、うるさいな!すげー楽しかったんだよ!」


「ほんとどうしようかなー」

 天井のライトを見ながら呟く。

「私に聞かないでよ」

「いや別に聞いてないし」

「…………」

「…………」

「ねえ、お兄」

 何か思いついたのか、こっちを向く妹。

「なんだよ」

 一応反応しとく。

「お兄はその部活のことが好きなんだよね?」

「まぁ好きだな」

「じゃあさ新しく部活作っちゃえば?」

「は?」

 予想してなかった事を言われ思考回路が止まった。

「誰が?」

 葉山先輩とかかな。

「いや、お兄が作るに決まってるでしょ!!」

「えー俺めんどくさいこと嫌いなんだけど!」

「でもその部活のこと好きなんでしょ?」

「…………あ、凛にやってもらおう!」

 ナイスアイデア俺!

「人にやらせるな!」

 べしっ!っと妹が俺の頭を叩く。

 結構痛かった。

「部活には入らないといけないんでしょ?入りたい部活がないんでしょ?」

「………」

「やらないとママにえっちい動画見ながら毎日ヌいてるって報告を」

「あーなんかやるきでたなぁ!よしっ、やるか!」

「うん!」

 そんな笑顔でうなずくな!

 やらなくちゃいけなくなるだろ!


「あ、そろそろ勉強しなきゃ」

 そう言ってソファーから立ち上がり二階へ戻っていった。

 その背中を眺めながら呟く。

「ありがとうな、心春」



 スマホを開きラインをタップする。

 友達のところで鎌倉先生を開いて(先生が酔ってるときにゲットした)通話をする。

数秒してから先生が出た。

「あ、先生こんばんはー」

「こんばんはーって今家で映画見てるところなんだが」

「一人で恋愛モノっすか?」

「う、うるさいわい!」

「本題なんですけどー」

「切っていいか?」

「なんでですか!?」

「どうせ好きです付き合ってくださいー!とか言うんだろ?」

「違います!」

「え、嘘だろ!?」

「ガチトーンで言わないでください!」

「で、用件は?はやくしろー」

「俺、部活作ろうと思うんです!」

「は?」

「部活作るんでやり方教えてください」

「あとでな」

「生徒が真面目に相談してるんですよ!」

「マジか…お前のことだから思いつきで言ったのかと思ったわ」

「一応、思いつき(妹の)ですけど……ってか先輩たちのあんな悲しい顔なんて見てられないっすよ」

「…お前ってそういう奴だったんだな…じゃあ、明日の放課後教室残っとけ」

「放課後の空き教室とか…先生エr」

「あ?」

「先生おやすみなさい!」



 青春を謳歌する部復活させてやる。







 

 


 


 






 


 

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