④ 天使の梯子
*
「――というわけです」
説明が終わり、恭介は清金からの言葉を待った。内心、冷や冷やとしている。もっとうまく出来たのではないかという後悔が今更上がって来る。
けれど、得られた言葉は称賛だった。
「……良くやったわ恭介。良く、この場の全員を守り切ったわね」
「え?」
思わず聞き返した恭介の眼に清金が笑みを答える。
「ありがとう。恭介が判断を間違えていたら、霊幻も、ホムラもココミも壊されてたかもしれない」
「……でも、アネモイが奪われてしまいました」
「そんなのアタシ達にはどうしようも無いわよ。むしろアネモイ2を守り切ったんだから感謝して欲しいわ。その方向で上からも働きかけてもらうから、安心してなさい」
「……はぁ、分かりました」
どうやら、自分にはお咎めが無い様だ。それを悟り、恭介は今度こそ肩の力を完全に抜く。
「木下恭介がホムラとココミに勅令する。先程の自壊命令は取り消し」
それだけ言ってバシャリと恭介はその場に座り込んだ。尻が濡れるが知った事ではない。
「次に同じ命令を出したら、燃やす」
「……」
頭上からホムラのドスが効いた声に恭介は苦笑だけで返事をした。
『みんな! 見て見て!』
フワッと風が恭介の頬を撫で、風に導かれるまま恭介は空を見上げた。
直後、視界が一気に明るくなる。
「……あ」
分厚かった雲にとうとう切れ間が生まれ、陽光が差し込んだのだ。
そこに居た人間とキョンシー全員が空を見上げた。
切れ間から見えるのは吸い込まれる様な青い空。
薄明光線が恭介達へと降り注ぐ。
――綺麗。
素直に恭介はそう思い、もう一度深くそして長く息を吐いた。
「……ああ、疲れた」
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