第37話
「―――ッハハハ!大丈夫だよ、そんなに怯えなくっても。」
「そ……そうは言いましゅけどねえ~~??」(←半ベソ)
「大体―――ノエルからも言われてるからさ……『暇を持て余し気味にしている活きのいいのが行くから可愛がってあげてね。』―――って、ね。」
「ノ……ノエル様が、そんな事をぉ~?」
「多少の加減はしてあげるさ。 けどねえ~~こちとら退屈はしてたんだ、ここの処のここの連中ときたら私らが軽く捻っただけで“泣き”を入れてくる始末……だからねえ?」
ここは『地獄の一丁目』か―――とさえ思いましたが、二人の“鬼”に挟まれ退路は断たれている……ここは最早、前に突き進むしか―――ない……
そして一日が終わり、思う様に“可愛がられ”たシェラザードを待っていたものとは……?
「ほォ―――あンたエルフだテらに、あノ二人の
「アの人ら、オレ等でも容赦なイもんナあ~!」
「そウ―――ソう―――そこニいるヤツなンざ、毎度毎度泣かさレっパナシでよう~?」
「(は・は……)そう―――なんでしゅか……」
「はいよっ―――!お待ちどう!! 鍛錬で傷ついた後はしっかりと“食べ”てしっかりと“治す”!それが強靭な身体を作る“基本”さね!」
「(私……『中身キメェ!』まではなりたくないんだけどなあ~~)けど……ま、食べないことには始まんないしね!それに、お腹ペッコペコだしい~~♪」
強靭な身体になるための“肉体改造”―――とまではいかないものの、空腹になったら、まず食べる!これが基本でもあっただけに―――しかも自分の鼻孔を
そして―――
「お邪魔を致しますよ―――」
「おお~~こっちは早速始めてるよッ♪」
「(あ……)ホホヅキ様?『それ』は―――」
八幡神社の巫女であるホホヅキが機を見計らって現れた時―――
大衆食堂の女将以外のオーガ共が波を打ったように静まり返った……?
しかし、その“原因”―――どうやらシェラザードも気付いた、ホホヅキが手にしている“ある容器”……
「この郷の“銘酒”―――『鬼ごろし』なる酒です、さあ―――皆の衆、今宵は無礼講と参りましょう! そして―――……」
#37;この郷を訪れた、新たなる同輩に祝杯を!!
ただ―――これは後になって判明した事なのですが……
オーガは力も強ければ酒も強い……は、最早
なのでしたが??
ではなぜ、この郷の“銘酒”と呼ばれているモノを片手に現れた巫女にその場が波を打ったように静まり返ったのか―――
「プッヒャアア~~! やっぱ―――五臓六腑に染み渡るよねえ~~!」
「さあ―――呑み干しなさい……この郷では杯を常に充たし、それを呑み干さねば礼を失すると言われているのですよ。」
「あ~~はい―――ぷほあ~~てか、私らしか残っちゃないじゃないですか―――」
「全く―――ここの男共と来たら
「全くです―――この郷の純粋な血より外界より来たりし我らの方が強くなるとは……嘆かわしや―――」
3人の美女―――リリア・ホホヅキ・シェラザードを除く、他のオーガ達は酒に溺れて
* * * * * * * * * *
そして、明けて朝―――アルコールの摂取過多もあった
「あいててて……日頃は
「おっ、起きたようだねえ―――」
「(うわ~~
「ははッ―――二日酔いかい?けど、ま……意識はしっかりとしているようだし、頭痛だけなら……ホレ、これを口にしときな。」
「なんですか?コレ―――」
「二日酔いの『特効薬』みたいなもんだよ。 それに……今日は案内したい処があるしね。」
「案内……したい処―――」
大衆食堂の女将から手渡されたモノ―――それは体内に残るアルコール成分の分解を促進してくれる『錠剤』でした。
それを言われるがままに口に入れるとほんのりとした甘味が口の
そして、女将が言っていた事……
『案内したい処』―――……
その場所では二日酔いの
なぜなら、それは大変失礼に当たる事だから―――……
その場所とは、八幡神社にある『祠』―――……
その最奥部に安置されてある……
「(う、わあ……)大きい―――……あの、“コレ”って―――?」
「連れてきたよ―――」
「本日は善き日柄もあり、故人も大変
「“故人”……て、それじゃ“コレ”が―――」
「はい―――我らが“盟主”にして“盟友”【
『英雄この地に眠る』―――と記された大きな石碑……
しかしその
なのではありましたが―――
シェラザードには、どことなく判ってきた……判ってしまった―――
故人を
そしてこの時、ようやく理解したのです。
ギルドマスター・ノエルが“導き”、瀕死の身となった時オーガの血を受け入れた二人……
『大衆食堂』の女将、リリアに―――
『八幡神社』の巫女、ホホヅキ―――
この二人に“迎えられた”……
その事に感謝をし、また
つづく
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