ここって天国？いいえBLの世界に転生しました。

第49話差

｢マ、マリー様は文字が読めないのですか？｣

｢へへ、そうみたい｣

笑って答えると

｢はぁ…｣

盛大なため息をつかれた。

｢シリル様もですか？｣

ラクター先生が絶望的な顔でシリルを見ると

｢僕は…少しならわかります｣

伺うように答えると、先生の顔がぱぁーと明るくなった。

｢さすがシリル様ですね！ジェラート様のご子息なのも頷けます｣

ラクター先生が頷いて一人納得していると…

｢あっ…ちが…｣

シリルが自分は養子だと答えようとした。

｢はい！シリルは自慢の弟です｣

それを私が遮るように答えた。

そんな私をシリルがじっと見つめるので

｢シリルは私と同じお父様の子供だもんね｣

ニコッと笑いかけると…

｢うん…｣

嬉しそうに頷いた。

｢マリー様はその弟様を見習って下さい！これは宿題です！明日まで読んでおくように！…全く同じ子供なのに全然似てないわね…｣

そう言ってドンッ！と難しそうな本を何冊か無造作に置かれた…

ペラペラとめくって見るとぎっしりと文字が書いてある…

｢うへぇ…｣

見てるだけで嫌になりそうだ…

｢出来なかったら更に宿題を増やしますからね！｣

｢はーい｣

私は仕方なく本を受け取った。

｢では早速それを読んでなさい！シリル様はもう問題が終わったみたいですね…採点をしますから貸していただけますか？｣

シリルはやり終えたテストを先生に差し出した。

先生は笑顔で受け取ると、椅子に腰掛けて採点を始める。

私は読めもしない本を眺めるしかなかった。

｢素晴らしい！シリル様満点です！兄のテオドール様も優秀な方ですからね…さすが兄弟ですわ｣

ラクター先生がニコニコと笑ってシリルのそばに行くと…

｢教えるのが楽しみです｣

笑顔で目線を合わせるとシリルの前に丸を付けたテストをそっと置いた。

｢マリー様はシリル様を見習ってください！｣

そんなシリルに向けた笑からキッと鋭い視線が送られてきた。

｢はーい｣

そうだな、確かに文字が読めないのは色々と困る…もしシリル達が好きな人と手紙のやり取りなんかはじめてしまったら…

二人の愛のやり取りが確認出来なくなる！

そんなのは絶対に嫌だ！

いや！人の手紙なんて見たら駄目だけどシリルなら見せてくれそうだし…

私は文字を覚えようと真剣に本に向き合う事にした！

そんな必死な私にシリルは心配そうに声をかける。

｢マリー…わからないところがあったら聞いね｣

｢うん！ありがとうシリル｣

私が笑顔で答えようとすると

｢いえ！マリー様はあまりにも酷すぎます…ですのでシリル様とは別メニューに致します！時間もずらしましょうねシリル様と一緒にするとよくありませんから…後でジェラート様にご相談しないと…｣

ブツブツとスケジュールを組み始めた。

｢ありゃ、シリルと勉強する時間違っちゃうね｣

私は仕方ないと笑うと…

｢そんなのやだ…｣

シリルのつぶやきに苦笑する。

｢大丈夫だよ、シリルは優秀だもん！一人でもがんばって｣

笑って励ますとシリルが不満そうな顔を見せた。