第28話出会い

私は何やら騒がしい様子に目を覚ました…


目を擦りベッドから起き上がると、いつもなら誰かしらいるのに今日は誰も居ない…


おかしいなと思ってベッドから降りるとそっと外の様子を伺う…


するといつもなら静かな廊下を従者やメイド達が慌ただしくかけていた。


「なんかあったか?」


私はこっそりとメイド達のあとをつけた…


気づかれないように後をつけると、いつもなら行くことの出来ない廊下の道が開いている!


「あっ!鍵が開いてる!」


どうやらその先で何かあったのか慌ただしく人が出入りしていた…


カーテンの裏に隠れて様子を伺っていると人の行き来がピタッと止まった!


チャンスとばかりにマリーはその先へと足を踏み入れた…


薄暗い廊下を進んで行くと…前から人が来る足音が聞こえる!


せっかくここまで来たのに見つかったら絶対戻される!


私はとりあえず入れそうな部屋に飛び込むと身を潜めた…


足音が通り過ぎると…ほっと息を吐く。


ふふ…なんかリアルかくれんぼみたいじゃない?


私はいつもとは違う刺激的な感じにワクワクしてきた。


「ここは何処だろ…」


そうっと部屋の中を確認していると…ガチャ!


飛び込んだ部屋の扉が閉まった…


「えっ?」


見るとどうやら開いていたので誰かが外から閉めてしまったようだ…


こりゃやっちまったか?


私はさてどうするかと考えた。


まずは大声で助けを呼ぶ…これは実質リタイア、最後はみんなに怒られて終わりだね。


そしてもう一つはどうにかしてここを抜け出し、何事もなかったように部屋へと帰る!


すれば怒られないし、私の勝ち!


「よし!とりあえじゅへあのかくにんだにゃ」


私は部屋に他の扉がないか探してみた…すると壁に小さな穴がある!


服が汚れてしまうかもしれないが今の体の大きさならどうにか通れそうだ。


私は迷うこと無くその穴に入っていった…


ハイハイをしながら中を進んで行くと…モゾッ…


奥で何かが動く音がする!


「はっれ?なんかいる!」


小さい声で呟くが反応がない…


ん?気のせいか?それかネズミとか動物かな?


あっそういや異世界の動物事情ってどうなってるんだろ…


そんな事を考えながら先に進むと…ムギュ!


何かにぶつかり思いっきり顔をぶつけた。


「いちゃい!」


思わず声が出ると


ビクッ!


何かが驚いて反応している…


「や、やっぱり…だれかいりゅの?」


急に怖くなり恐る恐る声を出しながら手を伸ばすと…何か温かい物が手に触れた…


「ん?これは…」


ぺたぺたと触るとそれは怯えるように震え出した!


「あっ!ご、ごめんなしゃい!」


すぐにその手を離すとゴンッと頭を下げた!


その頭は地面にぶつかり蹲る…


「うぅぅ…いちゃい…」


痛さに頭を抑えて悶えていると…


「い、いたい…」


声が返ってきた。


あっ子供だったのか…もしかして私と同じでかくれんぼして帰れなくなったのかな?


頭を押さえながら起き上がると…


「はは、あたまぶちゅけちゃった」


少し腫れたおでこを見せるが真っ暗の中それを確認する事は出来ない…


しかしその子は暗闇に慣れているのか私の頭の怪我をそっと触った…


「いたい…」


「うん?だいじょぶよこのくらい、なめちゃらなおるわ」


大丈夫大丈夫と笑う。


「なめる…なおる…」


ボソボソと呟く。


「あなちゃどうしたの?かえれないの?」


迷子かなと聞くが返事はない…でもここから動く気はないようだ…まるで怒られた子供がこっそりと隠れているように感じた。


私はその様子に少し考えると


「ねぇいっちょにでない?」


見えてるかわかないがにっこりと笑いかけた。

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