第23話テオドール視点
今日も今日とて私のマリーは可愛い…
トコトコと前を歩く姿は天使のようだ。まるでその足音でさえ愛おしく感じる。ずっと見ていられるがやはりあの自分に向ける笑顔も見たい…そう思って名前を呼ぶと…
ニコッ!
私とわかって見せるあの笑顔…これを愛せない人などいるのだろうか…
最近はお父様とのマリーの取り合いが続いているが…まぁ忙しいお父様はそんなにマリーといる時間も少ないからな、たまには譲ってあげてもいいかな…
そんな事を思いながらマリーを呼ぶと、拙い歩き方で一生懸命に自分目掛けて歩いてくる…本人からしたら走っているのかもしれない…それを思うと愛しさしか湧いてこない。
やっとたどり着いたマリーをだき抱える。
マリーは何度抱いても重さを感じない…成長しているはずなのに…不思議だ…
なんの用かと聞いてくるマリーにお父様からの呼び出しだと伝えて、部屋まで連れて行く…私もまだどんな要件か聞いてないがあまりいい話ではないかもしれない…
お父様もお母様も顔が若干曇っていた…
部屋に着くとお父様からやはりあまり良くない話を聞かされる…この屋敷に叔父の息子の子供を引き取って連れてくると…
確かあそこの息子はいい噂は聞かない奴だったはずだ…
私は嫌な予感が当たってしまったと顔を顰めると…その隣ではマリーが弟が出来ると喜んでいる。
マリーからしたら兄弟が増えることは嬉しいのだろう…しかし私は不安だ…聞けばその子はマリーと同じ歳…若干マリーの方が上だか…
あれ?マリーはなんで従兄弟が弟だとわかったんだ?
父も不思議に思ったようだ…首を捻っている。
マリーはそんな様子に気が付かず一人喜んでいた…すると表情の冴えない私に父はどうしたいか聞いてくる…
弟が来るのは構わないが…一番の懸念はマリーを取られないかどうかだ…
こんなに可愛い姉が出来たら弟はきっと甘えるだろう…マリーは天使みたい優しい子だ、きっと弟の頼みなら受け入れる。
そうなると私の事など…
不安になってマリーに聞く…
私とずっといてくれるか…ずっと好きでいてくれるか…と
するとマリーからの返事はとても嬉しいものだった…大好きだと私に抱きつき笑顔を見せる。
ずっと一緒だと…
その笑顔は嘘ひとつない輝くような笑顔…その顔を見ると私は自分の中にあった不安が消えていくのを感じた。
この天使はいつだって私の望む答えをくれるんだ。
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