第8話パパの変化

マリーはなんだか暖かく気持ちいい温もりに深く眠りについていた…


しかし時折聞こえる難しそうな話になんだ?と目を覚ます。


するとそこは見慣れた自分の部屋ではなかった…


ここどこ?


見ると布を巻かれて誰かに抱っこされているようだった…モゾモゾと動き誰かと確認しようとすると…


うそっ!


それは寝る前にみたパパことジェラート様だった…真面目な顔で机に向かい何かを書いている…その顔は確かに凛々しくかっこよかった。


こうしていると悔しいけどやっぱりイケメンね…


マリーはじっとその顔を見つめていると…視線に気がついたのかパパと目があった。


二人で数秒見つめ合うと…


あう~!いや何か言ってよ


マリーが沈黙に耐えきれずに喋ると


「おや?マリー様が起きましたか?」


もう一人覗き込んで来る顔が見えた…パパの執事のトーマスさんだ。


トーマスさんも執事にしては見目麗しい見た目…もしかしてパパの本当の相手はトーマスさん!


マリーの目がギラッと輝くが…


いやいや、駄目だ。いくら私がBL好きでもママが不幸になるのは耐えられない。


もし本当にトーマスさんが相手なら…どうにかして別れさせないと…


マリーは二人を交互に見ると…


「旦那様、マリー様は私がお預かり致します。先程からずっと抱かれていたので腕を少し休ませた方がよろしいかと…」


トーマスさんが私を抱っこする。


おお!


マリーは驚いた!パパの腕の中も悪くなかったがトーマスさんの腕もなかなかどうして…しっかりと抱いてくれる安心感、なんだか落ち着くコロンの香り…ついうっとりその胸に身を預けると…


「なんだか私の時より嬉しそうだな…」


ジェラートが不機嫌そうにトーマスを睨んだ…その顔を見て私は気がついた。


なるほど…この二人はそういう関係では無いようだ。


二人の醸し出す雰囲気は恋愛感があるとは思えない、これはBLを見てきた私が言うんだ間違いない。


私はほっとすると表情を崩した…


「おや、可愛らしいですね」


その顔を笑ったと思ったのかトーマスさんが微笑むと


「トーマス、もう大丈夫だ。貸せ」


ジェラートはトーマスからマリーを奪い返した。


あれ?もうトーマスさんタイムは終わり?まぁパパも高級そうないい香りがするからいいけど…


今度はパパに抱き上げられるがやはりトーマスさんより心もとない…落ちないようにとパパの服にギュッと掴まった。


「どうやらマリー様も旦那様の方がいいようですね。そんなにも離れたくないのでしょうか?服を掴んで…」


微笑ましそうに親子を眺めると、ジェラートは満更でもなさそうにマリーを抱き直した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る