第19話 - ミッション3 -

「小娘の結界が硬い! 先に2人でくノ一を狙うぞ!」


「ふんっ 雷神の術」


「フォーウ! 土遁ンンンン土嚢壁!」


 バチバチッ ドドン!


 雷撃を放つが土の壁で防がれる。

やけに掛け声がうざったい連中だ。

 やむなくマイクと呼ばれたほうに近接へ飛び込まれる。

カズハは短刀を具現させた。


 ガキッ ガキッ


 短刀同士の打ち合いとなる。しかしケンも注視せねばならない。

すでに何か印を結んで魔力が集中している。


「そのワンピースの肩紐をプチっと狙うぜえええ!」


やけに具体的な狙いのマイクだった。やらせはしない。


「土遁! 陥・凹・撃!」


 ケンの術で足場に穴がランダムでボコボコと凹みだす。

地面を不規則にさせ、踏ん張りを効かなくさせるつもりだ。


――土遁が多い。だが。


 ドカッ


 マイクに蹴りを当てて、距離を取る。

マイクはステップし、そのままケンの隣まで引き下がった。


「てめっ 抜け忍だな? どこ出身だあああ?」


「違うっ! ケン! 避けろおおお!」


 !?


カズハの姿をした者が、なぜかそう叫んだ。


 ズブシッ


瞬間、隣のマイクがケンの腹を刺す。


「弱すぎるわ」


「がっ、は…… な、いつの、まに」


 ケンが脇腹を抱え、よろよろと後退する。蹴りを普通に防御したので変わり身を撃ち込んで、カズハとマイクを入れ替えた。


 ここですぐに術の解除すらできないようでは、

カズハとは勝負にならない。


 ボボン! 


カズハとマイクの姿が元に戻る。


「ケン! 大丈夫か! っきっしょうが!」


「ちょっとあんたたち、何やってんだい! いくら払ってると思ってんの!」


シュウがピンチを予感し、叫び出す。


「るっせえんだよババア! 報酬と見合ってねえんだよ!

 足で変わり身を撃てるレベルの奴とやってられっか!」


「変幻自在のカズハ! 覚えとくぜえ! ラァーニン!」


 ドロン!


 転移玉を使って2人は逃げていった。土遁で練った玉だろう。結界の無い地面下の龍脈を通ったようだ。シュウに向き直る。あっというまに縄で縛り固めた。


「終幕ね」


 マーヤが結界を解除する。もう危険はない。

ゆっくりカズハと転がるシュウの元へマーヤが歩いてくる。


「反省してください。棟梁さんを殺害して、

 しかも材木の価格を私利私欲で操作するなんて」


「ひいいいい! ゆ、許しておくれ! 賠償はする!」


「悪いわね。それはできない契約なの」


さあ、とマーヤに短刀を渡す。受け取り、マーヤはしばらく目を瞑った。


「……」



そして――



「ごめん、カズハちゃん、せっかくここまできたのに、

 やっぱり私には、できないよ」


「……」


「契約は、捕縛じゃないわ。殺さなければ、成立しない」


「うん。分かってる、でもいいんだ。そこまでして、学院に通っても……

 それにほとんどカズハちゃんがやって、自分の実力じゃないよ」


「なぜ? マーヤの信仰、ルイ・ナージャは、やり直しを認める神様よ。

 そしてそれぞれの得意な役割をこなしたにすぎないわ」


マーヤは、ほほ笑むと、短刀を返してきた。


「カズハちゃん、ありがとう」


――意思は、固そうだ。もう何も言うまい。


 シュウをその場に転がしたまま、2人で帰路についた。次に見つかるのが仲間なら助かり、敵ならお仕舞いだ。


 近かったので、ポイントCの小屋に向かった。先ほどの運転手が居た。経緯を説明すると、そのまま出ていく。貨物車を再度運転し、街まで運び入れるそうだ。


夜もふけており、そのまま2人で仮眠を取った。ほとんど言葉は交わさなかった。

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