第18話 - ミッション2 -
『だれかが魔力を当てている……!』
『えっ?』
貨物車全体に魔法が照射されてるのを感知した。おそらく材木を識別している。魔導貨物車が停止した。じきに外で声が聞こえだした。
「おい運転手、下りろ、歩いてそのまま帰れ。でないと殺す」
なんとか隙間から状況を覗き見る。3人組だ。用心棒と思われる2人、小太りの者がいた。
「くそっ!」
運転手は魔導車を降り勢いよくドアをバンと閉め、そのままズカズカ歩いて去る。やや大げさだが演技だろう。
「よし、燃やしな」
小太りの小柄な者が指示を出すのが聞こえた。
マーヤと顔を見合わせ、頷き合ったあと、飛び出した。
「まってください!」
!
マーヤが出る。
「あん? なんだ嬢ちゃんー?」
「そ、その、シュウって人を引き渡してください!
そうしたら、見逃してあげます……!」
3人は顔を見合わせる。
「ギャハハハハハ! お嬢ちゃん、面白いねえ。
さあこっちへおいで、今からもっと面白いことしようかー」
笑いこけるが否定しないところを見ると、シュウとその用心棒で間違いなさそうだ。
確認は取れた。
「じゃ、じゃあ覚悟してください!」
マーヤが駆け出す。が、躓いて転んでしまう。
「ぎゃっ」
「はぁ、ったく。捕えな」
シュウはもはや笑いもやめ、飽きれて指示を出す。
「ヒャホーウ」
指示を受けた用心棒の一人がマーヤへと飛び掛かる。
「まてマイク! 止まれ!」
!?
瞬間、転んだマーヤが歪に膨らみだす。そして爆発した。
ボンッ!
爆風が吹き荒れる。中からカズハが現れる。
マイクと呼ばれた者は間一髪で回避した。同時に放たれたクナイを叩き落す。
次いで荷台から、本物のマーヤがが現れ、
手をかざし荷台全体に結界を構築した。
「ちっ よく見抜いたわねえ」
「普通深夜の貨物車から小娘が出てくるわけねえだろ。
てめえ、忍びだな? ナニモンだ?」
相手もどう見ても忍びだ。忍び同士なら名乗ったほうがいい。
名が売れるとそれだけで同業者に優位に立てる。
「私こそが、変幻自在のカズハよ」
「知ってるか?」
「いや」
「……」
ピッ!
目を配った瞬間の動作で、シュウへ手裏剣を投げる。
「ホワッシュ!」
カキンッ
簡単に用心棒の忍びに弾き落される。
「シュウの姉御、逃げてくれ! コイツを始末する!」
――女だった!
小太りながらなかなか早いダッシュで逃げだす。しかし。
バチンッ
結界に阻まれ、一定以上から出られない。この展開を想定して、昨日マーヤと下見の際に仕込んでおいた。マーヤの結界発動に呼応して、こちらも発動するようにしておいた。
「術者を倒すぞ」
「応ッ!」
「俺たちは、イング兄弟、マイク&ケン!」
「知らないわ。いくわよイ○ポ兄弟」
一人がカズハへ、もう一人がマーヤへ向かう。
互いの距離は10メートルほど空いている。
「ホーワッシャー!」
カキンッ
マーヤへの一撃は結界に阻まれる。マーヤは目を瞑ってしまっているが、易々とは打開できはしない。昨日2人でほとんど魔力を使い切って、この辺り一体の結界の構築をした。2日分の魔力で戦える。
「小娘の結界が硬い! 先に2人でくノ一を狙うぞ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます