第16話 - 気付け -

夕方になり、寮へもどった。寮母さんから連絡がある。


「2人に、お見舞いが届いていますよ」


 フルーツセットがローザから届いたそうだ。直接見舞いに来たようだが、街へ行っていたタイミングで不在時だったようだ。


「私が明日お礼を伝えておくわ。マーヤは夕方まで準備を進めてて」


翌日は登校した。ゼブの指定した時刻までは、終業後からでも十分間に合う。


「政勝、お見舞いの一つもないの? それでもイケメンなの?」


「はぁ、っておい、アンデルは?」


 通り過ぎてローザの元へ向かい礼を伝えた。本当に心配しているようだったが、マーヤは連日の休みだ。カトリーヌ先生の病欠との報告を引用する以外に言い様がない。やや症状が重く、自分も少しカゼがうつったようだとそれっぽく伝えた。


 休み時間になると、人気男子のロイも事情を聞きにやってくる。政勝へも同様の説明をせざるを得なかった。


「シラユキさん、ちょっとこちらへ」


早く帰宅したいと思っていたところ、カトリーヌ先生に終業後呼ばれる。


「仕事を請け負って欠席する際は、申請なさい」


――バレてる!


「実戦科では護衛の就労をする生徒もいます。

 内容しだいでは出席扱いとなりますので」


知らなかった。教養科の生徒ではあまりないケースだが、クラスの公平性のために認められるようだ。しかしこれで、万が一の際はカズハが変わりにシュウへトドメを刺す線は消された。本人が達成せねば、学院は実力と認めないだろう。


「そしてアンデルさんについてですが――」


話しは短く終わった。じきに帰宅する。


 ?


玄関を入ると、すでにいい匂いがしてきた。寮母さんが迎えてくれる。


「今日はマーヤさんが、手料理を振舞ってくれるそうです。

 日頃の感謝と言われて、私もお客さんの立場になりました」


 寮全員分の料理を作ったそうだ。マーヤの顔を見る。落ち着いていた。じきに全員が揃い、本校の生徒と共に、夕食を取る。マーヤなりの気付けなのだろう。


 大一番の前は自分の一番落ち着けることをするのが大事だ。春野菜のパスタを振舞ってもらった。


「いきましょう」


 外出届けを提出し、出発する。長い白銀の髪をまとめ上げポニーテール状にし、戦闘態勢にする。


「わっ カズハちゃん、かっこいいね」


「ほんとは切りたいんだけど、魔力との相性がね」

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