第12話 - ヘルプ2 -

 翌日、案の定マーヤは休みだった。朝礼で体調不良と告げられた。

クラスメイトの様子も至って普段通りだった。


 終業となり帰宅する。手紙が届いたいた。シズクさんからだ。

さすがに仕事が早い。開封して中を拝見する。情報があった。

が、きっちり情報料1500ナン(1500円相当)を請求されていた。



コン コン


 マーヤの部屋を訪ねる。返事はないが、ゆっくりとドアが開いた。

夜だが部屋の灯りも付けていない。


「少し、いいかしら? 相談があるの」


無言でコクっと頷き、入れてもらう。灯りも付けた。お互い座るって一息つく。


「マーヤ、魔蔵値の限界値を引き上げてみる気は、ない?」


「え……?」


 急な提案に、驚いたようだ。ようは次回の検査日までに、魔蔵値の限界値が上がっていれば問題ない。本人の才能限界を引き上げる提案を示してみた。


 そしてその方法を知っているか、シズクさんに尋ねてみた。手紙には、主に3つの方法が記載されていた。


「私も、方法があるってことは知ってた、でも内容までは……

 カズハちゃん、知ってるの?


「知ってる、というか今日聞いたわ。でも、やっぱりどれも簡単じゃない。聞く?」


話しだけでも、ということだったので、順に手紙の通り、説明した。方法は3つ。


 まず、トレーニング機関に通って、才能限界を引き上げる方法。これを行うと、ほぼ誰でも眠っている部分の才能を解放することができる。本来は危機に陥らないように、人間が無意識でセーブしている部分だ。会得すれば魔蔵値の限界を5%引き上げられる。

 

 ただし、この方法は確実なのだが、トレーニングに1~3年かかるという。

測定日はもう一週間を切っている。実質不可能だ。


 次に、限界値を引き上げるアイテム、『龍の角の結晶』を入手し、自分に取り込む方法だ。取り込めば魔蔵値の限界を20引き上げることができる。こちらはアイテムさえあれば、即可能な手段だ。


 しかし、この龍の角の結晶は、文字通り、龍の角の部分に溜まった魔力の塊だ。龍を討伐するなどし、角を入手しなければならない。ドラゴンは非常に強力だ。勇者クラスでなければ、まず討伐などできない。どこに居るかも不明だ。


 最後に、その龍の角の結晶を、商売で流通しているものを購入する手段だ。もっとも安全な方法だが、当然高額だ。実家が貧しいと言っていたマーヤには難しいだろう。


「と、いう情報をもらったわ」


「……どれも、厳しい条件だね」


 マーヤは考え込む。いや、考え込んでも答えは出ないだろう。

故にカズハから切り出した。


「明日、城下町の店を回ってみない? その結晶とやらを見に行ってみましょう」


「え、でも見つかっても、買えないと思うよ?」


「結晶にはいくつか種類があるって書いてあるわ。

 あと魔蔵値は3だもの、効果の低いものなら、チャンスがあるかも」


「そう、なんだ、ってカズハちゃん明日の授業は?」


 休むことにした。明日は運動実技中心なので、多少遅れをとっても問題ない。そこまでされる義理はないとマーヤには反対されたが、言い出したのはカズハだ。


 そしてなにより、自分に芽生えたこの打算の無い『人助け』という感情の好奇心を優先したかった。渋るマーヤを説得した。

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