主人公は幼い頃から海に恐怖を感じていた少女。
さらに少女の兄は海で亡くなってしまいます。
ところどころが欠けた死体として地上に戻ってきた兄の姿を見たことで、海に対する恐怖がより強固となってしまうのです。
海がすぐ近くにある町を舞台に置いた上で、その海を交えて死に対する過敏なイメージを深く描いているのがとても魅力的な作品です。
最初の見どころは、書き出しで描写される、主人公とその両親の三者三様の振る舞い。
それに対する主人公の感じ方も含め、歯車の噛み合わなくなった家庭のリアリティによって物語に引き込まれました。