第177話周りなんか気にしない!2
周りなんか気にしない!2
周りなんか気にしない!2
今までに経験したことがない想像を超えた姑息な手段で純を落とし入れようとした奴。
おそらく心理的に俺達の仲を引き裂いて、隙を狙って純をものにしようと考えていたんだと思う。
ありもしないラブホのことも、地下倉庫で鍵をかけ、後ろから抱き着いたもののそれ以上は何にもしなかったことも。
もし、無理やり暴力を振るったとしたら、それは逆に純から憎まれる恨まれる、おまけに自分が犯罪者になってしまい純をものにする本当の目的が果たせない。
それより鍵を掛け2人だけで密室にいた、俺達が行かなければ1時間くらいたってから2人で手ぶらで席にもどる、純は突然抱き着かれたから、席に戻っても気まずい態度、それ以降の須藤との会話もぎくしゃく、2人の雰囲気がおかしい、中で何かあったかは2人しか知らない、そんな2人を見て、俺は何かあったのではないかと疑い、純との仲がギクシャクしてその隙間を。うまくいかなくても、腹いせに2人の仲を壊してやる、くらいの事を考えていたのだろう。と水野さんが。
「ほんとセコイって言うか、そういうところには悪知恵が働くのよね、それくらい仕事にも知恵をはたらかせて頑張ってくれたらよかったのに」
あの年で主任というのは・・・そういうことか……。
でもそれが結果的に俺達、特に純にとっては最悪の事態を免れた。
「須藤の処分が甘いって思ってるでしょ?
そうね、でもあういう奴って、反省しないで逆恨みするから、あまりきつい処分を下すと逆上して、何するかわからないのよ、もし純ちゃんに何かあったら大変でしょ?」
そう言われると確かに、あの陰湿でしつこくてねちっこい性格だから、何されるかわからない、そう思うと 良かったのかもしれない。
少なくとも奴の陰湿なやり方が結果的に純にとっては最悪の事態を免れたのだから。
それからは、水野さんに言われ、決意したとおり、周りを一切気にせずに、居室でもイチャイチャ!している。
朝は手をつないだまま、皆に挨拶してから席に。
ちょっと手が空いたらくるっと純の方を向いては話しかけ、どちらかが残業するときは、終わるまで一緒に事務室で待って一緒に帰る。
周りも暗黙の了解。
まあ、あんなことがあったから、純は気丈にふるまってはいるけれど、30代の男性社員には異常なくらい警戒しているし、地下倉庫には1人では行けないけど、だからそういうときはいつも俺が一緒に
俺の本来の仕事がちょっと大変なんだけど、残業すればなんとかなるし、純が最優先だからね。
今までは純は業務課側の席だったが、今回の席替えで純と俺は背中合わせになったので椅子をクルっと回すと純の背中。
お昼も純が2人分の弁当を作ってくれ、そのまま一緒に食べる。
(家で一緒にお弁当作りするのも楽しいしね)
周りの独身女子にも恨ましがられ、俺は先輩社員に皮肉めいた冗談を言われながらも会社でべったり。
年に何度か、社内の現場用に使う工事部の安全なんとかのポスター用の写真撮影の時は、俺がマネージャーみたいに同伴。
高校や大学の時より一緒にいる時間が増えた、それもずーっと近くに、高校生の時、最初のきっかけは・・・席が隣同士、純も同じ事を思っていたらしくて、2人して懐かしんで、お互い顔を見合ってニンマリ。
大事件もなんとか決着がつき、2人は秋の結婚に向け順調にラブラブ。
さすがに社会人になったので、頻繁には小旅行はいけなくなったけど、都内デートや時々ラブホで朝までエッロイことを、でもそれだけじゃない。
夏休みが1週間ほどあったので、当然勉強もしたけど、近場にということで日光へ、全部はまわれないから東照宮を中心に、そしてホテルへ・・・・そんなに○○〇ばっかして飽きないのって?
飽きるわけないよ、だってこんなに愛してるんだから、それにこんなすっごい美人でこんなすっごい体していて、それが俺にメロメロなんだよ!?
すっごくエロいお願いされたり、エロく誘われたり、急に純情になったり、恥ずかしがったりされたら、もうその度にギンギン。
その反応がエロくて、かわいくて俺1人しか知らないってもう、俺の方がメロメロなんだ。
平常に戻っても充実した毎日。
あれからすぐに洋子さんに事件の話をしたら、純がすっごく怒られてた。
「ひっど~い、いくらなんでも、私がかっちゃんとラブホテル?そんなに信用されてないの?」
「ごめんなさい」
「それって結構ショック、それじゃあ本当にかっちゃんとラブホに行こうかしら?」
「本当にごめんなさい、わかっているんだけど、そう言われて一番最初に洋子さんのこと思い出しちゃって、信用しているんだけど、洋子さんには勝てないって思うと、どんどんいろんなことが頭の中をかけめぐって・・・ごめんなさい、許して?」
「どうしよっかな~」なんて言いながら俺の腕を
「本当にごめんなさい、だから・・・」
いつもなら怒りながら俺の手を引っ張って引き離すのに、今日は随分弱気な純。
しょんぼりしている純を見て
「冗談よ、冗談、でもよかったわね、そんな人がいてくれて」
「うん」
「そうなんだよ、最初は昔から会社のことを知ってるから、パートで来ている人、くらいに思っていたんだけど、それ以上の人だったなんて」
「武村君は知ってたんだ」
「そう、俺達、あいつにも相談していてね、そうしたらあいつもその人に相談してたんだって、そのおかげで今回も助かったんだけどね」
「よかったわね」
「うん」
「ところで、洋子さんはずーっとバイトのままなの?」
「そう、だってね~、私にはかっちゃんみたいに守ってくれる人いないから、1人じゃあ限界があると思うのよね」
「そっか、洋子さんでも危険があるんだ」
「何それ、なんか、人間じゃないように思われている気がする」
「いやいや、そうじゃなくて、どんな事があっても洋子さんなら大丈夫なんじゃないかって、思ってたから」
「そんなことないわよ、そういう男性って女性を落とすことに信じられないくらい精力的で、おまけに修羅場を潜り抜けているから、こっちが予想してないようなことをどんどん仕掛けてくるじゃない。そうなったら私みたいなひよっこなんて、もうどうしようもないのよね、気が付いたらボロボロなんてそんなのイヤじゃない、その主任だってそんなものだったんでしょ?」
「うん、そうなんだ」
「そう、私のようにひらひらかわすだけじゃなくて柴田先輩の強さの両方をもって、なんとかギリギリって感じ?いろいろ面接や職場体験をしてわかったの、だからまともに就職するの辞めたのよ、バイトなら危険を感じたら直ぐ辞めれるじゃない?だから」
「そっか」
洋子さんの話を聞いて妙に納得してしまった。
確かに洋子さんも純ほどではないけど明らかに美人、結構モデルの勧誘があったみたいだし、体つきや態度なんかは純よりエロいから、特にそういう下心のある連中には目につくんだろう。
(洋子さん曰く、AVか本当のモデルのスカウトか判断が難しいし、純ちゃんのあの事件聞いたら大手でも怖くてね、ぜーんぶ断っちゃった)
「じゃあ、武村建設でバイトしない?俺達もいるし、その頼りになる人もいるし、武村もいるよ」
「そうね~、確かに、同じバイトでもそのほうが安心かもね、でもそもそもバイトの募集してないんじゃない?」
「うん、でもほら1人辞めたから」
「そっか・・・」
「もしよかったら、聞いてみるよ、きっとその人が良いって言ったら大丈夫だと思うし、武村もいるからなおさら大丈夫だよ?」
「そうよ、ねえ洋子さんも一緒に働かない?
「おじゃまじゃない?」
「まあ洋子さんがいても2人ラブラブのままだから、行き帰りは洋子さん1人の時もあるけどね」
「そうお?、でも、一緒に帰っても良いと思うんだけど?」
「うん、純が良いって言うんだったら俺はそれも良いと思うよ」
「は~、そうよね~、じゃあ時々おじゃましちゃって一緒に帰るってことにしてあげるわ?」
「うん」
さっそく帰ってから武村に、
「いいんじゃね」って
そして次の日に水野さんにこの話をしたところ、あれよあれよと話が進んで……
//////////////////
「ちょっと、イチャイチャしてないでさっさと帰るわよ」
「はい」「はーい」
///////////////////
「ねえねえ、この前あそこに“分福茶釜”ができたみたい、あそこのイタリアンの“ペロロンチーノ(ペペロンチーノ)”がとってもおいしいんだって、食べに寄ってかない?」
「うん」
////////////////////////
「今日は純ちゃんと一緒に“たっちみー”って言うお店に飲みに行くから、帰るころに連絡するからかっちゃんは車で“たっちみー“まで迎えに来て」
「ハイ、了解です」
/////////////////
1か月もしないうちに、いつのまにか水野さんの“一の子分”みたいに仲良しになってるし、業務の新人女子2人からは同じ歳なのに何故かお姉さま扱い。
営業の独身男性たちにはすっごい人気だし、知らないうちに、おじさまキラー?やってるし、しっかりここの人間になっていた。
なんか、こう、洋子さんがいると安心なんだよな~。
純を任せられるんだ。
よかった、ありがとう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。