第160話いざ鎌倉

いざ鎌倉

いざ鎌倉


純は、いつもは助手席だけど、今日は後部座席に竹下さんと一緒。

「ねえ、こんな時間に行ったら、何もないんじゃない?」

「別に、お寺周りするわけでもないし、いいんじゃない?」

「うん、ネットで調べたんだけど、天空の城とか言われてる変わったカフェと海が一望できるカフェがあるんだって、だからそのどっちかに行ければ良いかなって」

「そうなんだ」

「うん、そんな感じでいいと思う」

「ねえ2人っていつもそんな感じ?」

「まあ結構、無計画で、朝とか昼に思いついたらそのまま出かけることが多いよね」

「うん」

「ふ~ん、なんか2人ってとっても自然な感じ」

「そりゃあ、純だから」

「そう、かっちゃんだから」

「はいはい、そうやってぼっちの私に見せびらかせていればいいのよ」

「は~い」「そーでーす」

「フフフ」「フフフ」「ははは」

家を出たのが10時過ぎだったので、一刻も早く鎌倉へ と思い、コンビニでおにぎりやサンドイッチを買って、運転中に、俺は信号の度に一口づつ。

車だと、とにかくこっち方面は慢性渋滞、なんとか着いたのが14時、そのまま カフェ五木ガーデンへ

海は見えないけど、不思議な雰囲気のカフェ

ラッキー、駐車場がちょうど1台出ていくところ。

入ってみると、っていうかほとんど屋外テラス気分。

なが~い階段?で俺と竹下さんは息を切らして・・・・・・純は平気。

「なんで純ちゃんは平気なの?」

「う~ん、合気道の練習してるから?」

「合気道?」

「うん、柴田先輩に教えてもらってから、1人で練習しているの、かっちゃんにも付き合ってもらってるけど」

「じゃあ、高谷君は何で息をきらしているの?」

「いや~、俺、見てるだけっていうか、やられるだけだから」

「なんか面白いわね」

「うん」

「ねえ、わたしにお教えてよ」

「いいわよ」

「じゃあ、足は高谷君のバイクね」

「えっ」

「しょうがないわね」

「・・・・・・」

「でも、かっちゃんにへんなことしたら許さないら」

「しないわよ、絶対」

「かっちゃんも、竹下さんにへんなことしたら許さないから」

「大丈夫だよ」

「私がちゃんと上書きするから」

「うん」

「何、それ・・・・・・?」

竹下さんの胸が背中に&%#“$%’の話を純がすると、竹下さんは俺に向かって「かっちゃんのスケベ」

3人でそんな感じで話をしていると

ケーキやハーブティ?フルーツ・・・が。

「なんか不思議なカフェよね」

「うん、東京には絶対ないよね」

「ほんと 」

「ねえ、ケーキおいしいわよ」

「こっちのフルーツもすっごくおいしい」

「自然の中にいる感じ、癒されるわ~」

「ほんと、来てよかった」

「うん」「うん」

時間を考え、もう1つのカフェには行かず、そのまま由比ヶ浜で眺める太平洋、水平線のずーっと向こうを、ただただ眺める。

それから目的もなく江ノ電に乗って、適当に降りてぶらぶらして、また鎌倉に戻って車で 帰る。

「いいな~、2人いつもこんなデートしてるのね」

「うん」「ああ」

「私も、こんな・・・・・・」やばい竹下さんが涙ぐんでる。

「大丈夫よ、竹下さんもちゃんとした彼氏が見つかるわよ、きっとあの・・・・・・あれはそういう人じゃなかったのよ、だから別れて正解、ね」

「うん」

純が一生懸命慰めて、俺は、うまく言えないから運転に集中。

竹下さんって見た目はあれだけど、中身は全然違う、俺も純もあのキショイケメンの時は本当に助かった。

純と一緒に大学に来てくれて変な虫が近寄らず本当に助かった、頼りになった。

高校の時の印象とは全然違って、根はすごく良い人、幸せになってほしい、ちゃんとした彼氏が見つかってほしいと思った。

東京に着いたとき、結構な時間になっていたので、そのまま3人で夕食と思いながら走っていると、駒沢オリンピック公園近くにある、門をくぐって焼き肉屋。

「今日はいっぱい歩いたから、肉食うぞー!」

「もうかっちゃんったら」

「フフフ」

肉をバクバク

「いつも思うんだけど、高谷君って高校の時クラスが一緒だったのよね~」

「こんな人がいたなんて、あ~あ、いいな~」

「いいでしょ」

「うん」

「うらやましい、高校の時付き合ったカップルってたいてい大学で別れるって言うじゃない、でも高谷君だったら、そんなの関係なくずーっと一緒にって思うわよね~」

「うん、ずーっと一緒、死ぬまでじゃなくてね 私たちは死んでからもずーっと一緒なの」

「そうよね~ うんわかるその気持ち

私もそんな彼氏、見つかるかな~」

「大丈夫」

「うん、竹下さんなら、きっと見つかるよ、竹下さんの良さをわかってくれる人が必ず見つかると思う」

いつもより素直な竹下さん、やっぱり、あんな別れ方したのはショックだったんだろう、弱気な竹下さん。

そう簡単にはふっきれないけど、昨日よりは良くなっていると思う。

少しずつでも良いからいつものエロい大人な竹下さんに戻ってね。

夕食も食べ終え、竹下さんを送ってから、純を家に。

そのまま実家に帰って車を置いてバイクで戻る。

「かっちゃんお帰り」そう言ってお茶を出してくれる

「ありがとう」ズズ-ッ、う~ん落ち着く。純の入れてくれたお茶。

「今日はありがとう」

「ううん、純もおつかれさま」

「竹下さん、少し元気になったみたい」

「そうだね、昨日より元気になってよかった」

「うん」

「かっちゃん」

「ん?」

純が後ろから俺に抱きついて

「竹下さんがうらやましいって」

「うん、いつも冗談で言ってくるけど、今日は本音っぽく聞こえた」

「うん、竹下さん、本当にかっちゃんが良かったみたい」

「そっか、でもね、それだけはね」

「・・・・・・」

「俺は純一筋だから、それだけはね」

「かっちゃん?」

「何?」

「大好き」

「うん、俺も純が大好きだよ」

「今日は楽しかったね」

「うん、今日みたいなイブもいいかもね」

「うん」


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