第151話気持ち悪いよ

ほんと気持ち悪い

気持ち悪い―女性に対して失礼だよ


3年生になって、2人こんな生活をしている。

俺もなんとかトラウマから立ち直れたようで、あの事件の事も普通に話せるようになって、さらに最近は俺が思っている事は全部純に話すようになった。

いつものように、1人でラノベを見る。

ある無料サイトの異世界ファンタジーもので、何冊も書籍を出している作者の作品でR18物だけど、ストーリーが面白くて、それは、おっさんが黒の聖者で黒い袋をもって暴れまわるというのがお気に入りで見ていたが、それが今日更新される日。

それでそのサイト開けてそれを見ようとしたが間違ってブックマークが外れていたみたいで、探していたらうっかり別の物を見てしまった。

それも最悪の・・・。

そこで・・気持ち悪くなって、でも頭から離れない・・・。

話の筋はほとんどない、当然ストーリー性もない、そういう事だから設定がコロコロコロ変わって前の話と繋がらなくなっている、矛盾がいたるところに、どう考えてもありえない無理な設定。

おまけに読者の感想まで……。

よく見ると2年以上、30万文字にもかかわらずブックマーク数はたった〇〇〇、評価もたった▽▽▽。

ということは、ほとんどの読者は俺と同じに思っているんだろうと思う、それでもやっぱり気持ち悪い。

夫が妻を貸し出す?どう読んでも妻は夫なんかよりその男に気持ちも体もメロメロだろー、そんなことまでしてるのに、妻はその男とそんなことまで通じ合っているのに、それでも『体はカレだけど心は夫君よ』???

そこまでいっちゃっているのに、そんなになってしまっているのに、『心は夫君のまま』?って、何それ、ありえないだろ、その夫婦、もう終わってるだろ‥‥‥壊れてる。

だけど、なんでも載せてもOKの無料サイトだから載せるのは自由、いやなら読まなきゃいい。

あ~本当に気持ち悪くて、何で読んでしまったんだろう、後悔だけが残る。

えっ、もし純が他の男と・・・『体は彼だけど、心はかっちゃんよ』

何それ、そんな・・・・・・勝手に1人で想像して落ち込んでいると、純が心配そうに聞いてくる。

「どうしたの?かっちゃん、具合悪そうだよ」

俺達2人とも、お互い愛してるから、そんな心配考える事はない?

不安に・・・自信がないから・・・

思わず純に漏らしてしまった。

「何それ、気持ち悪い、イヤ。

心も体も一つだよ、私、あれ以来、かっちゃん以外の人を触るのも触られるのもイヤなのに、体が?そんなことになったら死んじゃう・・・」

ちょっと間があいて、純もそれを聞いて俺みたいに想像してしまったらしく

「えっ、かっちゃんがそんな事したら・・・・・・イヤ、そんなの絶対イヤ、かっちゃんそんなことしないで、ねっ」

「純も想像しちゃたんだね、ごめんね、俺は絶対そんなことない、そんな変◇じゃない、

ありえないから、愛してるからできるんだ、純を愛してるから、純だけなんだけだよ」

「私だって、愛してる人だからキスするの、愛してる人だから1つになりたいのに、考えただけでも気持ち悪いよ。

かっちゃんだからだよ、かっちゃんと1つになって愛し合いたいの、全部かっちゃん、ねっ♡」

そう言ってキスしてくる、それがうれしくて愛おしくて、もっともっと・・・・・・。

あれから2人はこんなこと(くだらない話)まで話すようになった。

純が全国的超絶美人で、俺は自分に自信がなくって・・・・・・って思っていたら、

「かっちゃんは、もっと自分に自信を持って♡」

「自信がないのは私の方だよ、あの時、すごく親切に、やさしくしてくれて、かっちゃんがよろこぶよ、って言われると、そうかな~って思っちゃて、かっちゃんがもっと好きになってっくれるって言われて・・・・・・、私こそ、もっとしっかりしなきゃダメよね、でも、あの変なイケメン気取りの先輩の時は大丈夫だったでしょ? もうあんなのにはひっかからないと思う。いくら私がポンコツって言われても同じような手には乗らないよ。

それにこうやってかっちゃんと一緒にいるし、もう何でもかっちゃんに言うようになったから、それにもう私、かっちゃんの△△△だもん♡

だからちょっとでも変だったら言ってね、叱って、お願い」

「うん、わかった、でも自分でも気を緩めちゃダメだよ、そういう奴は隙を狙って付け込んでくるからね、なかなか判断が難しいし、純の場合、特に、ほとんどの男は下心があってやさしく接してくる、ってくらいに思っていた方が良いと思うよ」

「うん」

確かに、あのキショイケメン事件の後でも、今だに研究会の先輩の友達と称する連中が、親切を装って俺の知り合いのような顔をして純に近寄ってくるのがいるけど、その程度なら問題なく撃沈させる事ができるようになっているから以前よりは成長していると思う、油断はできないけど。

それから、いつものように純と竹下さんが大学に来た時、竹下さんが

「高谷君、純ちゃんから聞いたわよ」

「えっ?」

「なんか、変なサイトで〇態◇癖の投稿物見ちゃったんだって?」

「純から聞いたんだ」

「うん」

「そうなんだ」

「あのね!」

「・・・・・・」

「女性を思いっきり侮辱してるんだけど?だいたい夫(彼)が妻(彼女)を他の男に貸し出すように仕向けたからって、妻(彼女)がその通りにする? 言いなり?所有物じゃないんだから。

その妻って、もともとそういう人、そういう雰囲気になったら平気でする淫〇、夫は何かあった時のキープ。『体は○○だけど心はあなた』?まあどっちかと言うと、作者が興奮しながら書いていたのだろうストーリーが支離滅裂になって、それを指摘された時の言い訳よ、それがありならなんでもOKじゃない? それって完全に#$%&‘’‘(($」

確かに。滅茶苦茶なストーリーも矛盾点もその一言で誤魔化せる。

「でも、あらすじに実話みたいな事が書いてあったんだよ」

「単なる吊り、はっきり『実話』って断言していないでしょ?読者が勝手に勘違いして興奮しているだけ。 例えば、知り合いで、浮気が原因で離婚した人の実名を使って話を取り入れたら、それって、ある意味『実話を基に』じゃない、そんなものよ」

反論するんだけど、竹下さんの言う事の方が正論で、最後の方はお説教だった。

「そっか、そうだね、それに女性を侮辱しているよね」

「そう、そっちの団体に見つかったらかなりまずいんじゃない? そんなの本気にしちゃあダメじゃない、純ちゃんがかわいそう」

「ごめん」

「でも、よくそんな変△◇癖物のサイトが普通に見れるのね」

「うん、そうなんだよ、18歳以上の縛りしかなくて、そっち専門の別サイトにしてくれれば絶対見ないのに、タグだけで判断しろって・・・・・・」

「そうね、でも、高谷君って、そんなサイト見てるの?」

「いや、そうじゃなくて」

黒い穴のおっさんの話をすると

「そう、それなら尚更分けてほしいわよね」

「うん」

「まあ、どうせ少数だから運営は、そこまで手が回らないだろうし、高谷君が気を付けるしかないわね」

「うん」

「それと、純ちゃんに謝った方が良いわよ」

「うん、そうする、竹下さんありがとう」

「どういたしまして、・・・・・・貸し1つね♡ 」

「はい」あれ?武村みたい・・・・・・

竹下さんは、あまりにも女性を侮蔑、軽視した話にかなりお怒りの様子だった。

それから、家に帰って純にこの話をして謝ったら、にっこり、許してくれた。



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