第144話平穏ではない学生生活-11

平穏ではない学生生活-11

平穏ではない学生生活-11


「わかりませんか?これからは私達にかかわらないでくださいって言ってるんです」

ダメだこいつ、どうしようもない。

怒りがこみあげてくる、純がこれだけ言っても全然言う事聞かない。

絶対許さない。

これはもう純1人では無理だ、そう思って、そのままスマホに話しかける

「もしもし、純?今どこにいるの?」わざとらしいかもしれないけど

純が気づいてくれた

「もしもし かっちゃん?今カフェ」

「どこの?」

「かっちゃんの大学のそば」

「じゃあ、今からそっちに行く?」

「ううん、かっちゃんの所に行く」

「そう、じゃあ部室で待ってるね」

「うん」そう言って通話を切る。

「すみません、そういうことなので、これでさようならです。

もう2度と私達の前に現れないでください」

そう言って、あいつの返答を待たず、1000円札をテーブルに置いて純が出て行く。

俺は慌てて、カフェの出口で純を待って、出てきた純を抱きしめキスをして、

「純、頑張ったね、えらい」そう言って頭を撫でる。

純は小さく震えながら

「うん、頑張ったよ、でも、あいつ、全然ダメだった」

「うん、あいつおかしいよ、後は俺がやるから、部室で待ってて」

「うん」そう言って、純を部室に行かせ、俺はそのままカフェの出口であいつを待っている。

なかなかあいつは出てこない、しばらくして何事もなかったかのように、あいつが出てきたので、俺はあいつの腕を掴んで、

「ちょっといいですか?」

あいつは何事かと一瞬ビクっとして、こっちを睨む、俺に気づいて、すぐにいつものイケメンスマイルで「あれ?高谷くん?どうしたの?」

わざとらしい、今まで純と一緒にいた事、俺が何も知らないとでも思っているのか?

まあ、それはそれで都合が良い、その方が今まで純と何を話していたのか俺は知らないと思っているはずだから。

「ちょっと話があるんですが、よろしいですか?」

「いや、用事があるから、今日はちょっと無理かな」

「純の事なんで、今じゃないと困るんですけど、もう2度と俺達に関わらないというなら、それで良いんですが?」

そう言うと

「まあ、少しくらいなら大丈夫だよ、それで?」

「ここじゃあなんですから、ここのカフェで話しましょう」そう言って腕を掴んだままカフェに入る。

こいつはここから出たばかりなのに、すぐにまた同じカフェに、今度は男と2人で入る。

気づいた人なら、不思議に思うだろう。

席について、俺は熱くなっているのでアイスコーヒーを頼み、あいつは紅茶を、

そこで

「純の心の本当の声ですが、純から聞きました?」

「いや、まだ聞いてないよ」

「えっ?本当ですか? おかしいな、純は今日先輩に言うって言ってたんですけど」

「いや、まだ聞いてないな~、早く聞きたいんだけどね~」

「本当に聞いてないんですか?」

「ああ」

「先輩、嘘はダメですよ、先輩なんだから、後輩に対してそんな不誠実な対応はまずいですね~」

「何言ってるんだ?嘘なんかついていないよ」

「そういうばればれの嘘言ってはずかしくないですか?」

「高谷君、そういうのは先輩に対して失礼だよ」

「はあ?」

「だから、先輩に対して・・・」話を割って

「これ聞きます?」そう言って先ほどの録音した会話の1部を聞かせると、だんまりと決め込んだのか、どう対応するか考えているのかわからないけど、すぐに、

「純ははっきり言ってますよね、もうこれ以上関わらないでほしいって。

 これってどういうことかわかりますよね」

そのまま立て続けに

「これだけ拒否しているのに、関わるようでしたら、完全にストーカーですけど、わかってます?ストーカーは犯罪でけど?」

「イヤ、だからこれからは友達として」話の途中を遮って

「友達もイヤだって言ってますよね、録音したの聞いてます?っていうかしっかり録音させてもらいましたから、一応このまま警察にこれ持っていくつもりですけど、いいですね」

「君、何言ってるんだ?警察に行ったって何も起こらないだろ」

「いえ、これからおこるかもしれないことに対応するためには、先にストーカーされているとようだ、って言いに行くんですよ、別に今すぐ先輩を捕まえてくれなんて言いませんよ」

「そんな事で警察は対応してくれるかな」

「まあ、しないかもしれませんけどね、でも事前に相談したという証拠は残りますから、このネット社会で、それがどういう効果があるか、ちょっと考えればわかりますよね、特に先輩のお父さんは、会社を経営しているんでしたっけ?その会社の社長の息子が・・・ってわかったらどうなるんでしょう?」

「・・・・・・」

「今度俺達、特に純や竹下さんに話しかけるようなこと があったら、そのまま警察に駆け込みます、そしてSNSで拡散しますから、いいですね」

「高谷君、何そんなに切羽詰まったような事言ってるのかな~」

「そうやってごまかしても無駄ですよ、俺達本当に実行しますから、このこと もちゃんと弁護士に相談済ですし」

「弁護士?」

「はい。うちの顧問弁護士が親身に相談に乗ってくれて、場合によっては、先輩を訴えることも結構簡単にできるんですよ、今日のこのことも報告することになってるんですけど?」純の親の会社の顧問弁護士だけど、それをあいつに教える必要はない。

目が泳いでいる。

しばらくあいつの反応を見ていると

「君たち、なんか勝手に騒いでいるようだけど、大丈夫?すこし冷静になった方が良いんじゃない?」

「冷静に話しているんですよ、だから、ちゃんと弁護士に相談して、警察に行くんです。先輩こそ、冷静に今の状況を把握した方が良いんじゃないんですか?」

どうする?何を言ってくる?




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