第128話突然の再会

 まざあ なのかな?1/2

 

 今日はバイトもなく、普通に純の大学の校門の前に待っていると、純がいつものようにニッコリ笑って走ってくる。

「久しぶりに青山の方に遊びに行ってみる?」 

「・・・・・・」

「まあ、いやな思い出はあるけど、そろそろ克服していこう、ね」

「うん」

そう言って、2人で地下鉄で 表参道駅 に到着。表参道の青山通りの入り口付近、表参道の終わりに位置していて、スカオープロの事務所はすぐそこ、そう純が一時所属していた事務所。

2人の仲が戻ってから、純のお義母さんから事の顛末を聞いた。

実はあいつは、前の担当していた子にも手を出していた。

権之助坂84のセンタークラスの子、デビュー前から事務所ではかなり押していて、あいつが担当になったが、じわじわと、そして最後の方はしっかり堕としていた。

それが見つかり事務所でも大騒動。

でも彼が担当したおかげでしっかりセンターとして成長したし、まじめに反省し真摯な態度を示したので、もともと仕事はうまくこなしていたので再度チャンスを。

 という事で純の担当に、純はいつも婚約者が同伴していたから、まさかそういう相手には手を出さないだろうと、しかし事務所の考えは甘かった。

あいつは用事もないのに、事務所で打ち合わせと言っては頻繁に純を呼び出し、そうなると俺も授業があるから、全部は付き合えない。

純が1人の時を狙って、親切心を装って、俺をネタに色々な所に連れては甘い話術で、いつのまにか付き合っている用な感覚にさせていた。

お義母さんの会社の顧問弁護士の懇意にしている興信所(探偵)からその話を聞いたお母さんは静かに怒った。

お義母さんと弁護士で話をしに行き、弁護士がその内容をタンタンと事務所側のいいかげんさと責任問題について解いた。

静かに脅して、事務所側に頭を下げさせて 本来は損害賠償の話もあったらしいが、当然違約金もなく、関わりを少しでも早く断ち切りたい事から即解約することができた。

予定していたテレビ出演も何本かの雑誌の撮影もキャンセル、事務所に多大な損害を与え、当然、あいつは懲戒解雇。

このせまい業界、噂はすぐに広まり、居場所がなくなって、姿を消したそうだ。

新宿歌舞伎町でお店か何かの制服のようなスーツのような服を着て金髪ピアスになってたのを見かけたという噂、あんな奴の今はどうでも良いけど。

だから、スカオープロの人に会っても、向こうが気まずいだけで、こちらは問題ないんだけど、純にとってはそういう訳にはいかない、あまりにもちょろくて、簡単にひっかかって・・・・・・

 それでもやっぱり、2人にとって、あのイヤな思い出、純の顔がどんどん暗くなっていくので、

「ねえ、俺と一緒に上書きして行こうよ」

「うん・・・・・・ごめんね」

「大丈夫?」

「うん」 しっかり手をつないで、おしゃれなカフェを見つけ

「あそこでお茶しようか?」

「・・・・・・」 黙って気まずい顔、きっとあいつと一緒に行ったカフェだろう

「行った事あるんだね」

「・・・・・・うん・・・・・・」

「じゃあ、上書きしよ、ね、このままだと青山周辺はどこにも入れないよ」

「・・・・・・うん・・・・・・」

「大丈夫、これからは、俺はずーっと純の隣にいるから、何があっても離れない」

「うん」そう言って、手を強くに入り締めてくるので、肩をだいて頬にキスして耳元で

「愛してる、大丈夫だよ」

純はちょっとびっくりした顔で俺を見るから、にっこりすると、純もにっこり。

カフェに入って、コーヒーと紅茶、フルーツタルト、ザッハトルテ

「ここら辺に来るの、久しぶりだね」

「うん」

「ねっ、ほら、純のいつもの」

「うん」そう言って ケーキを一口俺に、そして俺のケーキも、純の話を聞いて、俺も話す。

俺が『ちょっとトイレ』と言って席を外しトイレに、その間に。

「あのー、村井さん、ですか?」

女性が純に話しかけてきた。

「はい?」

「やっぱり! あの、私同じ事務所なんです、読モ、なんですけど」

うれしそうに、ちょっと興奮気味に、

「去年、同じ雑誌の撮影の時、村井さんの撮影を見て、同じ歳なのに、すごいな~って、私達と違ってオーラ?みたいなのが出ていて、全然違うし、去年テレビに出てたじゃないですか、やっぱりすごいな~って見てたんです」

「は~」

「あのー、握手してもらって良いですか?」

「はい、でも、私、もうあの事務所辞めたの」

「えっ? そうなんですか? 別の事務所に移ったんですか?」

「ううん、モデルの仕事、めたの」

「えーっ? そんなもったいない」

「そう? もっと大事な事があるからそっちを大切にしたいからね」とニッコリ

俺が戻ると、そこに1人の女性が立って純と話していた。

スカオープロの人?モデルの友達か何か?

スカオープロ近いから・・・・・・そう思いながら

席に座って良いかどうか悩みながら戻ると、その女性は・・・・・・郁だった。

中学の時につきあい、高校1年の夏に二股をかけられ振られたあの山田郁。

「郁?」

「ん?・・・・・・た・か・や・くん ?」



 


 

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