第120話2人の世界 

2人の世界 再び

2人


あれから、大学が始まるまで、塾のバイトと純の部屋と。

これからの俺達の将来の事を考え、この出来事について、ちゃんと言葉にしよう、不安な事も、心配な事も、お互い、思ってる事を全部話すことにした。

俺が話す、それはいじめるためでも、怒るわけでもないから淡々と話す。

あいつと純が目の前で楽しそうに2人の世界が、そして2人でやっていた事がショックだったこと、苦しかったこと、ずーっと地獄だったことを。

純はそれについて泣きながらひたすら謝る、自分の愚かさと甘さ、後悔を・・・

あまりに苦しそうだったから抱きしめ、慰めてキスしてあげると、純が求めてきて・・・・・・2人1つになって、純を天国に・・・純が安心して落ち着く・・・。

 そして純が今までの事を全部話してくれた。

純が、あいつに俺とうまくいくにはどうすれば良いか相談し、そのアドバイスを色々言われ行動したこと、そしてそれに慢性化し、何も考えすそのまま行動してしまった自分の反省。

俺への対応についての思慮の甘さ。

自分がやった行為は浮気とかわらない、その愚かな行為、それも彼氏の前で、最低だったと。

そして、別れてからの1人でとった行動について、つらかった事。

なんとか俺とよりを戻したいからと家族に全てを話すと大バカ者呼ばわりされた事。

武村が怒っていて、なんとか許してもらったけど怒りながらしかられて、でも反論できずひたすら謝って、やっと協力してもらえる事になったけど、それが一番助かったという。

俺の母親にも謝りに行った。

俺とよりをもどすため『腹黒純』の覚悟をして、いろいろな行動をとった。

なぜ、あの時母さんが何も言ってないのに「がんばりなさい」と言ったのか、

「よかったね」と言ったのか。

塾の追加バイトの時だ、あの時会議室から出て行ったのは母さんに連絡するからだったんだ、そうか・・・。

そして急に毎週会う事になった武村が会うたびに純の事を言っていたのもそういう理由だった。

「純は1人でいる」「純を誘えば?」「純が悲しむ」・・・全部そういうことだった。

そして、俺の行動や人間関係も全て純に報告していた。

それで俺がバイトしている塾も、

「同じ大学の先輩が就活で辞めるって聞いて、すぐに挨拶して、私はすぐにでも働けるからいつでも辞めていいです、って、そしてかっちゃんが恋人だからって驚かしたいから内緒って、うそ言ったの。ごめんなさい。それで2月に入って、働けるようになったの、竹下さんの事もその時に知ったの」

(そう言えば竹下さんの事は武村には言ってなかったなー)

「竹下さんの時は本当に危なかった。もしかっちゃんが竹下さんを家まで送って、部屋にあがったら・・・もう、どうしようって、竹下さんがかっちゃんの恋人になったら、もう元に戻れなくなっちゃうって思って、あわててRINEして会って、かっちゃんとは別れていない、勘違いしているだけって、またうそ言っちゃった。

だって、このままだったら竹下さんに取られちゃうって思って、本当にごめんさい」

そうか、竹下さんと付き合えたかもしれないのか?

「そっか?」

「うん、竹下さん、かっちゃんの事本気で考えてたみたい・・」

それを聞いて、あのエロっぽい美人の顔が・・・雰囲気でキスを・・・内緒に・・・

「あー、思い出してるー顔がにやけてるーー」

「いや~、ごめん」

「う~ん、ちょっとの浮気なら許せるけど、 本気はぜったいダメ!!」

「ん?ちょっとの浮気は良いの?」

「ん―――っ、ダメ」

悲しそうな顔をして、俺を見つめる。

「しないよ」そう言って抱きしめる。

そうか、俺と別れた後、純は1人で動いていたんだ。

確かに腹黒いところがあった。

重いかもしれない、でも、雑誌の表紙を飾るほどのモデルで、テレビにも出るような、

そんな女性が、俺とよりを戻したいため、1人でこれだけ動いていたと思うと、愛おしく

そしてかわいく思えて・・・・重くて良いよ、腹黒くても俺のためなら、俺はその方がうれしいんだよ。

思いっきり抱きしめ、キスをすると・・・1つになって愛し合う、2人が天国に。

結局、4日かけて、お互いの事を話し、気持ちを確かめ、愛し合って、これからどうしようか考え、どこまで元に戻ったかどうかはわからないが、また2人恋人になった。

ちょっと遅れてもらったチョコ、こんなおいしいチョコ、生まれて初めて。

2人、愛し合い、天井を見ながら、純は俺の胸に顔を付けながら

「あのね、私の全部はかっちゃんの物、そしてかっちゃんの全部は私の物、ここも、ここも、そこも・・・ぜーんぶ私の物」そう言って右手で××して××口で・・・

をしてくるから・・・・・・また愛し合う。

いままで、離れていた分を取り戻すかのように、純は積極的で激しい・・・

「ごめんなさい」と泣きながら「うれしい」と泣きながら 何度も何度も・・・。

夏休みの旅行も、俺の誕生日も、クリスマスも年末年始もバレンタインもなにもなく

約半年ぶりのイベントは純の誕生日。

俺は、まだちょっと、あの時の事が頭にあって、レンストランを予約したいけど、2人でそういうところで食事していたんだよね、って思い出してしまう。

わかってはいるんだけど・・・。

「20日は純の誕生日だよね」

「うん」

「クリスマスも初詣もなかったからな~」

「ごめんね」

「いや、そういう事じゃなくて、久しぶりだから何かしたいなーって」

「ううん、一緒にいれるんだったら何もしなくて良いよ」

「う~ん、でもな~」

ちょっと考えて

「ねえ、今からだとホテルとか空いてるかな?」

「えっ?」

「1泊2日くらいで旅行に行かない?」

「うん♡」

「もうこの際、空いていればどこでも良いよね?」

「うん2人で行けるならどこでもいい、うれしい♡」俺の上にかぶさってくる。

キス・・・あ~ また始まって・・・・・×××。

なんとか3月31日が空いていたのでさっそく予約。熱海だ!

20日は恵ちゃんと武村と4人で純の家で誕生日パーティ。

そこで、武村と恵ちゃんに、ちゃんとお礼をしよう という事になった。

誕生日プレゼントを考えなきゃ と思っていると

「ねえ、かっちゃん、あの時の指輪って どうしたの?」

「うん・・・実は、まだ持ってる」

「それ、ほしいな」

「いいの?」

「うん、指にはめてほしい」

「いや、あれは呪われた指輪だから聖女様に浄化してもらわないかぎり使えない。

 だったら、腕の良いドワーフに頼んで新しいのを作ってもらおう」

「うん・・・ん?・・・ねえ、ドワーフってお店? 聖女様って?」

「すみません、昔の癖で・・・」

「変なの」

「うん、ごめん」

次の日、さっそく、銀座へ、違うお店に指輪を見に行き、新しいのを!!

案の定、20日まで待てない、できたらすぐほしい、って。それって俺もうれしいんだけど。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る