第109話バレンタインデー

バレンタインデー

バレンタインデー


 それから部室で先輩に会うと、その様子がぎこちなくて、やっぱり俺にだきついて寝ていたのが気になるんだろう。

俺もあれ以来先輩の事が気になりだしていたから、2人ちょっとギクシャクして、

長澤さんや西尾さんに「2人ともどうしたの?」と聞かれることがしばしば。

それから試験が終わり、大学も受験シーズンで休み。

家に1人でいると・・・、そういえば柴田先輩が17日に実家に帰ると言っていたので、4月まで会えない、そう思うとバイトのない日は講義もないのに大学に行って部室に顔をだす。

15日部室に顔を出すと、柴田先輩と長澤さん、西尾さんが楽しそうに話をしていた。

「おはようざいます」

「あっ 高谷くん おはよう」

「高谷君、昨日来なかったでしょ」

「うん」

「待ってたのに」

「えっ?」

「ほら バレンタインデー」

「ああ、まあ今年は何もないから・・・」

「あっ・・・・・・ごめん・・・・・・ね 」

「ううん、いいよ」

「あのね、私達からバレンタインデーのチョコ!どうぞ」

そう言って、バレンタインデー用の包装がされたチョコをもらった。

「ありがとう もらえると思っていなかったから、うれしいよ」

「そう? ちゃんと用意してたんだよ」

「うん、ありがたいです」

「今日、これから何か用事ある?」

「いや、バイトも休みだし、何も」

「じゃあまた4人でカラオケだー」

「おーー! 」

この前のように4人でカラオケ、さんざん歌いまくって、タンバリンとマラカスで大騒ぎ、すっきりして解散。

次に会う時は4月、新学年で会いましょう と挨拶。

その別れ際、柴田先輩が「ちょっと」と言ってきたので「何ですか?」

「私も、高谷に用意したんだ」そう言ってチョコを渡された。

「うれしいです。柴田先輩のチョコ、ありがとうございます」そう言って別れた。

春休みに会えないかなって思って聞いてみると 先輩は春休み中は実家に・・・。

試験期間もあり 2週間ほど武村と会っていなかった、その武村から、

「会わないか」ってRINE 

春休みなので また武村の使っている駅に11時待ち合わせ。

この駅は純も使っている・・・・・・

もやもやしながら待っていると、いつも通り10分遅刻。

バイクでファミレスへ

「おごってやるよ」

「えっ? でも今はもうバイトしているから 大丈夫だよ」

「いや、俺の都合で呼んだんだからおごるよ」

「じゃあご馳走になります」 

やっぱり今日もステーキ+ランチセット

ドリンクバーで飲み物を持ってきて、席に座って飲みながら

「試験どうだった?」

「うん、1科目だけすっごく大変なのがあってね、テスト勉強で先輩のマンションで徹夜して何とか乗り切ったんだ」

「その先輩のところに何人か集まって勉強したのか?」

「いや、2人」

「お前にそんな先輩いたっけ?」

「うん、研究会の柴田っていう先輩」

「それ女じゃないのか?」

「うん」

「で、どうだった?」

「何が?」

「女の先輩の部屋に一晩泊ったんだろ、」

「いやいや、テスト勉強だけだよ、そんな事一切ない」

「でも何かしたんだろ、隠すなよ」

「いやいや・・・朝まで勉強して、シャワー浴びた後、そのまま寝てしまって、・・・起きたらその先輩が何故か一緒に床に俺にだきついて寝ていた・・・」

「じゃあ、そのまま、・・・あれか」

「いやいや、ただそれだけだよ、そのまま起きて、 朝ご飯食べて帰った」

「へ~、キスくらいはしたんだろ?」

「本当に何もないよ」

「でもその先輩が好きなんだろ?そのままやればよかったって後悔してんじゃねーの?」

「本当に、そんな事ないよ」

「でも気になるんだろ」

「そりゃあ、タカコレでグランプリとったくらい超絶美人で、性格はきっちり男前してて、とても信用できる人だし、尊敬もしてるけど・・・」

「純が聞いたら泣くだろうな」

「純はもう関係ないよ」

「は~、まあ、おまえら2人の問題だから、俺は関係ないけど」

「なんだよ、もう俺達の問題でもないよ」

「・・・そうか・・・お前春休みは何してるんだ?」

「バイトくらいだよ」

「塾の講師か?」

「うん」

「そうか、まあ、がんばれ」

「うん」

そんなやりとして、別れて家に帰った。

純が悲しむってなんだ、あの時俺じゃなくてあいつと仲良くやってただろう。

 それなのに俺がそんな事やったところで何で純が悲しむんだよ・・・・武村は何を言ってるんだ。

せっかく先輩の事を意識し始めて、純の事で苦しまなくなってきたと思ったのに・・・・・・

モヤモヤがぶりかえした、なかなか眠れず それでも、少しだけど眠りについた。



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