第57話修学旅行 -班決めと純の暴走発言

修学旅行 -班決めと純の暴走と爆弾発言

修学旅行 ―班決めと純の暴走と爆弾発言


 うちの学校は、就学旅行が3月にある。

試験が終わって就学旅行が終わり、春休みとなる。

行き先は、公立高校らしく、地味に奈良京都。

私立なら海外だったり、国内でも北海道や長崎とか沖縄とか……

修学旅行で盛り上がる1つに班決めがあって、ここで一大事件があった。

基本は男3-4人女2-3人の5-7人グループで行動する。

特に自由行動の日はこの班で予定を決めて一緒に行動し、何故かレポートを提出するので、班を決めるのは結構重要な事。


いつものように予備校の帰り、純は一緒のグループになるって言って、でも、純の取り巻き連中は黙っていないからむずかしいんじゃない?

それに、あいつがあれから何も言ってこないのが怖い、卒業までに何かしてくるんじゃないか心配だから、もう少しおとなしくしておいた方がよいかも。


このまま様子を見て、ダメなら、大学生になったら2人だけで京都奈良に旅行に行こうと言って、なんとか収まったけど、最後まで不満な顔をしていた。

純はおそらくあのトップカーストグループ、次期野球部主将がいる、文化祭の時、あいつの言いなりだった奴。

だからちょうど良い、5人で即決。

俺は適当に集まった5-6人と思っていた。

今日、アニメおたく=俺は「プロ」と呼んで尊敬しているんだけど、2人に聞いてみると 自由行動の日は2人で 今日兄に行く、絶対行くという事。

きっと他の連中には、理解できないだろうけど、俺は彼らの考え100%ではないが理解できる。

それに彼らは普段は、普通に接すればかえって気を使わず一緒にいても楽なので、彼らと一緒になった。


クラスの女子、田代さんと中野さんが、「高谷君ってグループ決まった?」

「いや、男子は、あの2人と一緒だけど、女子は決まってない」

「じゃあ、私たち2人と一緒のグループにならない?」

「あいつらがいいって言うならいいよ、でもあの2人、『今日兄』に1日中いるから、別行動になると思うよ。内緒だけど」

「いいよ、じゃあ高谷君と3人でお寺めぐりでもしようよ」

「ああいいね」

「じゃあ、あの2人がOKなら決まりね」

「うん」 しまった純が・・・義理チョコの2人だ。


まずい、純を見ると時々こっちを見て俺をにらんでくる。

トップカーストの連中がにぎやかにしているのが聞こえる、連中は気づいていないけど純がムッスリしてるよ、あれ、

「いいね~、じゃあ、純、一緒に○〇行こうよ」

「何、抜け駆けしようとしてんだよ、皆で行くんだよ」

「純、俺と2人がいいよな」

純の周りで盛り上がってるけど、純がだんだん怒ってきている。 


突然、純が、椅子を勢いよく後ろに引いて、急に立ち上げり、俺の方に向ってどしどし歩いてきて、俺の机を前にずらして、俺の膝の上に座ってしまった。


ああ、そうなるか~。

トップカースト軍団は一瞬驚いたかと思うとすっごい怒った顔で俺をにらむ。

田代さんと中野さんがびっくりした顔で俺を見てる。


トップカースト軍団の2人があわててこっちに来て、

「村井さん、どうしたの、そいつに迷惑だろ、こっちにきなよ」

俺をにらみながらも純の腕を掴もうとしたら、純がそれを振りほどいて 

「いやっ、私、かっちゃんとおんなじグループが良いの、田代さんにも中野さんにもかっちゃんは渡さない。かっちゃんは私のもの」

クラスの皆が驚いてこっちを見ている。


トップカーストの1人=工藤が、俺をにらんで

「高谷、ほら純をはなしてやれよ、困ってるだろ」 

俺のひざに乗ってるのは純だろ、俺じゃないだろ。


そして、田代さんと中野さんが

「村井さん、工藤君がああ言ってるんだから、あっちに戻った方が良いよ」


俺、バイクがなければただの人だから、勉強も3科目だけの人間、こういう状況は無理。


純がさらに暴走して左手を上げて

「ほら、この指輪はかっちゃんがくれた指輪、かっちゃんもつけてるんだよ」

そう言って、俺のシャツの第2ボタンを勝手にはずしネックレスをひっぱりあげ、そこにぶら下がっているリングと純の左手の指輪を並べて奴らに見せた。


遠巻きに見ている男子から「ウォー」と声があがり、同じく女子から悲鳴とは違った「キャー」、

五条達トップカーストの連中と田代さん中野さんが真っ赤になっていた。


それでも工藤は未練がましく

「高谷、お前、純に何したんだ?」と見当はずれな事を言ってくると、

純は

「工藤君、何言ってるの?今の話聞いてたでしょ、そういう事だから、私はかっちゃんのグループに入るから」そう言って、俺の方に顔を向けた。


工藤はブツブツ言いながら、カーストグループの方に戻って行き、田代さんと中野さんは俺に向って

「高谷君って村井さんと付き合ってるの?」、

俺が答えようとしたら純が

「そう、かっちゃんは私の彼氏」

「そっか・・・・村井さんが相手なら難しいわね」そう言うと、純に向って、

「村井さん、高谷君と同じグループに入りたいんだったら、私たちの承諾と菅井君と土屋君の承諾が必要よ」

「えっ?」

「だって、もう私たち、高谷君のグループだから」

「そっか、田代さん中野さんお願い、私をグループに入れて」

「しょうがないわね、じゃあ自由行動の時はそうやって2人イチャイチャしないこと、皆と一緒に行動する事、いい?守れる?」

「うん、ちゃんと守るからお願い」

「・・・わかったわ、じゃあ菅井君と土屋君に話してこよっか」

「うん」

3人で菅井と土屋の所に言って、承諾を得る。

2人は何があったのかまだピンときていないようで、3人の女子がドーとやってきて一方的に話だしたので、速攻でOKだった。

修学旅行のグループを決めるのに、こんなに盛り上がるとは思ってもみなかった。

純は1人、勝ち誇ったような顔で自分の席に戻って行った。

それから、純は廻りから質問攻めにあっていた、まずいと思い

「純」と呼ぶと純がこっちを見たので両手を合わせると、あっ、という顔をして頷いて

皆の質問に対応していたが、

「かっちゃんとは付き合ってるけど詳しい事は内緒」と答えていた。

しばらく落ち着いてから、隣の田代さんが

「高谷君、本当に村井さんとつきあってるの?」

「うん」

「そうなんだ、いつから?」

「それは、ちょっと、でも本当に付き合ってるよ」

「そっか・・・でも彼女が村井さんって大変だよ」

「そうだよね、だから秘密にしてたんだけどね、しょうがないよ」

「ふ~ん、ねえ、高谷君って村井さんにかっちゃんって呼ばれてるの?」

「うん」

「そっか、村井さんかー……」

「うん」

純が暴走したのは、俺が隠していたのが原因だから、俺の責任でもある。

申し訳ないと思っている、あとでちゃんとあやまろう。

なんとか就学旅行の班決めが終わり、試験が終わると本格的に準備が始まるけど、きっとそれまでに色々あるだろう。なにせ「「あの村井さん」」の彼氏が俺だから・・・





 

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