第55話ご両親にご挨拶3/3 -ついでにうちの親

ご両親にお願いのご挨拶3/3 ―ついでにうちの親


両親にお願いのご挨拶3/3 ―ついでにうちの親


しばらく抱き合ったままでいると、下から、「純、ご飯よ~」とお義母さんの声、

「はーい」

そう言って、2人離れて、服を整え、かるくキス、純の後についてリビングへ。

今回で2回目の、純の家族と一緒の晩御飯。

「ほんとは、2人の婚約の前祝い? なんだけどね、まあ普通に食べましょ」

そう言って5人で食事、食事をするのはまだ2回目、それほど話すことはなく。

うちの親もそうだったけど、純の母親も『普通に食べましょ』だった。

おそらく、母親は、ある意味冷静に、2人はまだ高校2年、純は初めて人を好きになったから舞い上がっている、大学生になったら、それぞれ別のサークルや色々な集まりに参加して、そこで新しい出会いがあるかもしれない・・・そうなると・・・高校生カップルは大抵・・・。

少なくとも、今は2人とも本気で好きあっているから、そのままうまく行ってほしいとは思っているが、すべての成り行きを考え、温かく見守ろうと思っているのだろう。

ただ、俺は大学生になったら村井さんみたいな恋人・・・と思っていたのが高校2年で本物の村井さんに巡り会えた。

だから、本気の俺は、来年1年間は、純と受験勉強 にかける。

純がただ舞い上がっているだけなら、他に好きな人が・・・・という心配はないわけではないけど……。

今ここでいくら頑張っても変わらない、大学に受かってからじゃないと、始まらない と思った。

さかのぼるけど、金曜日の夜、純を連れて、俺の母親と父と妹と5人で晩御飯を食べたとき、

将来、一緒になる、という報告をした。

母親は「純ちゃん、いいの?こんなお子様で、もっといい人ができたらふっちゃっていいんだからね」

息子を卑下しすぎ、まあでも、うちも妹がいるので、娘の親の方が大変だというのがわかっているから、純にそう言うんだろう。

金曜はそんな感じで難なくうちの両親の挨拶を終え、今日、純の両親にお願いの挨拶を終えた。純の家の前でおやすみの挨拶(キス)をして帰ろうとした時、純が、「ちょっといい? 」

「何?」

「その道の向こうの角のところに公園があるんだけど、ちょっと話さない?」

「うん」そう言って、純の後ろをついて行く、どうしたんだろう?『純が話さない?』って。

3分ほど歩くと、いかにも昼間、母親が幼児を連れて和んでいるような小さな公園があった。

純がそこのベンチに座り、俺を横に座るように、手でベンチの座面をポンポン、俺は純のとなりに座る、真冬のこの時間、かなり寒い。

向こう側に自動販売機の灯が見えたので「ちょっと待って、純は何飲む?」

「ホットレモンとかあるかな」

「うん」自動販売の商品を見て

「ないよー」

「じゃあ、ミルクティ」

コーヒーとミルクティを買って、純の横に座り、ミルクティを渡すと2人で、プシュ。 

ゆっくりと、『あの村井さん』の口調で話し出す。

「私、そんなに舞い上がっているように見える?」

「ん?」

「私ね、初めて人を好きになったじゃない?」

「うん」

「かっちゃんがこの前、恵に聞いてたじゃない」

「うん」

「かっちゃんも恵も、私の事、……言ってたでしょ」

「ああ」

「お母さんも、そう思ってるよね」

「うん、そうだね」

「私、かっちゃんの前だと、こうなっちゃう、いつもの私と違うよね」

「ああ」

「私がこんなんで、それに2人ともまだ高校2年だもの、そう見られてるんだろうなーって」

「そうだな」

「今のままじゃあ、私の本気は伝わらないだろうなって 」

「そう思う、俺がいくら真剣に言っても、高校2年生のお付き合い。くらいにしか見られないんだろうな、って思う」

「うん、でも、私は違う、舞い上がっているかもしれないけど、うかれてるんじゃない、しっかり考えてる。私はかっちゃんと一緒になる」

「ああ、俺も、高校生のお付き合いじゃない、大学生になっても、就職しても、ずーっと隣にいるのは純だ」

「来年は絶対大学に受かって、親を説得する」

「うん、この1年が大事だね」

「ああ」

そう言って、お互いに顔を見合わせ 「ウフフ」「ハハハ」同じことを考えている2人は

お互い、同じことを考えてるんだ。という事を認識し、それがうれしく思わず笑ってしまった。

そしていつものように、ながーいキス、2人純の家に戻り、バイバイの軽いキスをして、バイクで帰った。


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