12大人気

泣きそうになるのをじっと我慢し、私は無理やり笑顔を作って、リアムに言った。


「お腹、ペコペコ!早くご飯を食べたいよ~!!」


「ほんとに、胃袋から生まれてきたような奴だなぁ・・」


リアムは仕方ないなぁ・・というような顔で


「ほらほら・・早く用意をしろ!」


そう言って、後ろから、肩を両手で押すようにして私をテーブルへと促した。もちろん、私がとても美味しい夕餉を満腹になるまで食べたのは言うまでもない。


翌日はとても天気の良い日だった。窓から強い光が差し込み、占い部屋などという薄暗い場所に入って、占いをしてもらいたいなどと思う人など一人もいないだろうと思われた。箒を持って、玄関を掃除しようと、ドアを開けると、なんと、そこには長蛇の列ができていた。


「な、なんなんですか?この行列は・・」


「ここの占い屋の新しいプリンセスかぐや様という占い師が、絶世の美女で、しかも、占いをすれば当たるし、病気を治す魔法も使えるという噂を聞いてきました。そのすごい占い師を一目見たい・・と思いまして。私、1番です!!そうこうしているうちに、次々並ばれて、こんなことに・・。あなた、こちらの方ですよね?いつ、プリンセスかぐや様はおいでになるのでしょうか?」


「は、はあ?」


何だかわけが分からないまま、相槌を打つ。


「一目お会いできるだけでも良いのですが・・・」


「そ、そういうわけには・・」


「プリンセスかぐや様はどのようなお方ですか?」


矢継早に話す男性は、見たこともないプリンセスかぐやに、どうした訳かぞっこんのようだった。


「さあ・・それは、私には何とも・・」


まるでプリンセスかぐやが別にどこかいるような気がしてしまい、私はかなり引いてしまったのだが・・


だが、そこで気が付いた。私はプリンセスかぐや本人だ。そう、衣装を着けていないだけなのだ。リアルに今、顔出し中だった。あなたがおっしゃる絶世の美女は、今まさに、あなたの目の前にいるんですけどぉ~!!そう思うと、何だか、冷静になってきた。私がこれほどの人気者になっているなんて、まさに、晴天の霹靂!だが、人気なのは素の私じゃないってことは確かなようだ。


「プリンセスかぐや様は騒々しいのはお嫌いです。しかも、このように多くの方がお並びになっても全員を占うことはできません。5名様のみ受け付けます。占い料は1000ルピーで、割引は一切ありませんので、悪しからず・・」


「お~い!!俺は、プリンセスかぐや様に豪華なプレゼントを持ってきているんだ。黄金のブレスレッドだ!!プリンセスかぐや様に受け取ってもらいたい!!」


いかにも貴族というような高級で派手な服装をした男が言った。


「そうおっしゃられても・・順番が・・。とにかく5名様のみです。開店まで今しばらくお待ちください」




そう言うと私はドアを後ろ手に閉めて、息を整えた。どうなっているの?なんでこうなった?私は、昨日占いを始めたばかりではないか・・。私はシャノンに救いを求めて、必死で名前を呼んだ。


「にゃ~ん」


昨日の疲れもすっかりとれたのか、清々しい顔のシャノンがいきなり私の腕の中にボフっと飛び込んできた。こういう登場の仕方は初めてで、かなり斬新だ。


「やっぱ、こうなっちゃったか~」


「こうなっちゃったか~って?」


「占いに来た人、みんな、リサのこと気に入ってたじゃない?」


「そうなの?私の魅力に惹きつけられたの?むふふ・・それにしては、待ってる人、絶世の美女に会わせてくれって、本人の私に懇願してたよ・・」


「顔、ほとんど見えてないのが、想像力をかきたてられるのか・・噂ってこわいねぇ・・」


「って、それってどういう意味よ。言っときますけど、私の顔はシャノンの顔なんだからね」


「ははは・・そういうことになるよね~。そりゃ、絶世の美女と言われても仕方がないか・・ふふふ・・とにかく、この世界では、リサの引力が強くて、人をひきつけちゃうんだよね‥きっと」


「そうなのかぁ」


私はここで不敵な笑みを浮かべた。大儲けできる!!


「リサ・・あんたちょっと不埒なことを考えたでしょ」


うううう・・するどい!


「はい・・ちょっと。貢いでくれる人に貢いでもらえば仕事しなくても大儲け?なんて・・考えました~」


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