第86話メロメロでございますわ

「そんな事を言われましても…………クロード殿下がわたくしの思考を真っ白にするのがいけないのですわ」

「何を言っているのですかリーシャ様。それに、リーシャ様の書いたお手紙がアイリーンさんのせいで全てクロード殿下に渡っているのをお忘れでは?口頭でリーシャ様のお気持ちを伝えるくらい今更でしょうに」

「シャッ、シャルロットォッ!?あの日の事は綺麗さっぱり忘れなさいとわたくし申しましたわよねっ!?あぁあ今思い出しても羞恥心でどうにかなってしまいそうですわぁっ!!どうしましょうっ、しゃ、しゃるろっとぉっ!わ、わたくしクロード殿下に嫌われて無いですわよねっ!?あの手紙の量に引いて無いですわよねっ!?わたくしの気持ちが重すぎるなどと思われていないですわよねっ!?」


せっかくあの日の出来事を忘れていたと言うのにシャルロットのせいで鮮明に思い出してしまったではないか。


あれから日数が経っているとはいえ、だからこそ徐々に、それこそ遅延魔術攻撃や呪術攻撃の様にじわじわと蝕んでいくかの如くクロード殿下のお気持ちに変化が表れていないか今更ながら心配になって来たではないか。


「あー、よしよし、よしよし。大丈夫、大丈夫ですわリーシャ様。むしろクロード殿下がリーシャ様を想うお気持ちはより一層深くなって行っていると思いますわ」

「ほ、本当ですの?大丈夫ですの?あ、安心して良いんですのよね?」


そしてわたくしはシャルロットに、まるで子供をあやす母親のように抱かれながら頭を撫でられ肯定してもらう。


あぁ、物凄く安心して来ましたわ。


流石シャルロットと言わざるを得ない安心感である。


「むしろクロード殿下の愛が重くなって行っている様にも感じますが………」

「何ですの?何か言いました?」

「いえ、何も。リーシャ様はクロード殿下に愛されて幸せだなと思ったまでですわ」

「そ、そんな。愛されているだなんて………えへえへ、そうかな?」

「ええ、誰がどう見ても愛されておりますわよ。クロード殿下は今現在リーシャ様にメロメロでございますわ」

「ふふ、わたくし………誰がどう見てもクロード殿下に愛されておりますのね。メロメロですのね」

「だからこそ何をそんなに怖がっているのですかリーシャ様は。未来の王妃となるお方らしくビシッと愛の言葉の一つや二つくらいクロード殿下へ言っておやりなさいな」


なんだかシャルロットにそう言われるとクロード殿下へビシッと愛の言葉を伝えれる様な気がして来ましたわ。


「そ、そうですわね、クロード殿下はわたくしにメロメロなのですからむしろわたくしの方がむしろ立場が上でしてよっ!!」

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