第14話【学園入学編(ニーナ編)】一肌も二肌も






あれから一年の月日が経ち俺は今現在王国立魔術学園へと入学する為の準備をしていた。


入学式は三カ月後と、前世の知識から見ればまだ少し時間がある様に思うのだがそれはこの世界でも同じである。


しかしながら俺の王太子という立場がある以上そうもいかないというのが、慌ただしく急かせかと動いているニーナを見れば分かるというものであろう。


まぁ、そこら辺の雑務等は極論を言えば俺には関係ない為どうでも良いと言えばどうでも良い。


普段は自由があまり無く平民であった前世の記憶を持つ俺からすれば少しばかり息苦しく思ってしまうのだが、寝てても俺の周りが勝手にやってくれるという件に関しては楽だな、とついつい思ってしまう。


その為気が付いた時には感謝の言葉と偶に粗品ではあるものの感謝の印を渡していたりする。


しかしながら全てを彼女達が俺の世話をやってくれるという訳でも無く、俺は俺でやらなければならない事もここ最近少しづつではあるものの増えてきた。


例えば、入学式に全校生徒を前にして行う答辞などである。


そしてそれは王太子という俺の立場がやらないという選択肢は消滅していると言っても過言ではない。


はっきり言おう。憂鬱であると。


そもそも前世から他人前で話すという事そのものが大の苦手なのだ。


誰が好き好んで入学式の答辞などという事をやりたがるのか。


前世の誰かが言った、ルールは破るものという言葉がある様にここは俺が未来の俺の様な者の為に前例を作るべきではないのか?


そんな事をニーナに相談してはみるものの「そんな事をすればリーシャ様に嫌われてしまいますよ?」という言葉で一蹴されてしまう。


そうだな、嫌われたくないしリーシャの為ならば一肌も二肌も脱ごうでは無いか。





月日が流れるのが早くなってきたと思い始めたのは何時ごろからであろうか。


三カ月などまだまだ先だと思っていたあの頃が懐かしくおもう。


今の心境を例えるのならば夏休みの最終日、と言ったところであろうか?


そんな事を思いながら俺を乗せた馬車は目的地である王国立魔術学園へドナドナと走っていく。


「殿下、つきましたよ。いよいよでございますね」

「そうであるな」


そして目的地へと着いてしまった馬車の扉をニーナが足掛けを設置して開けてくれる。


「ささ、早速校門前で写真をお撮り致しますよっ!国王様と王妃様から高額な映写魔石を預かっておりますので何枚撮っても大丈夫ですっ!」


フンスッと鼻息荒くにニーナが校門前で写真を撮るのだと息巻いてくる。


こういう所は前世も一緒であるな。


「お、遅いですわっクロード殿下っ!!いつまでわたくしを待たせるつもりですのっ!」

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