第11.5話 神界(女神side)

『私は水の女神です』

「チェンジで」

ちょっと待ってよ、神界にチェンジとかそんなシステム無いから!


『神界にチェンジとかそう言うのは受付ません』

「えー」

『私に何か不満でも?』

「いや、どうも『水の女神』というと駄女神アクアのイメージが…」

『風評被害!』

誰よ、水の女神のイメージ墜としたの!


「こういうのは『光の女神』とか『地母神大地の女神』とかが担当するんじゃないのか?」

『そりゃ大物の女神に比べれば私なんか新米ですけど…でも、この世界は私が任されてるんです!』

もうっ、オコですよ、プンプン!


「まあ、転送されたのが黒い球体の置いてある部屋じゃなかっただけマシだけどな」

『それって◯゛ンツじゃない、あんなのと比べるほどヒドイって言うの!』

「でも、どうせ魔物とか魔王とかを倒せって言うんだろ?」

『それはそうだけどー』

いや、私はアレほどヒドくないと思うのよ。


土御門つちみかど 晴明せいめいさ・えっ?』

ゴリっと私の額にマグナムオート拳銃の銃口が押し付けられた。

『なっ、なっ?』

「術者を【真名マナ】で呼んだな」

怖い、怖い、撃たれるぅ!

『ゴメンなさい、ゴメンなさい、間違えました、土門どもん 靖明やすあきさんですぅ!』

「いいか、二度と俺の【真名マナ】を口にするな」

『わかりましたぁ』

半泣きで謝って、やっと銃口が私の額から離れた。



『土門 靖明さん、地球最強の退魔師の貴方なら、きっと【勇者】の助けとなるでしょう』

「俺とは別に【勇者】がいるんだな」

ちょっと、なんでヨシッとか言ってるんですか?


『このリストの中から『職業』を選んで下さい、私的には【聖騎士パラディン】とか【竜騎士ドラクーンナイト】とか【賢者マギ】なんかお薦めかなー』

「じゃあ、【回復術師ヒーラー】で」

『…』

なんでヒーラー選んじゃうの?


『で、ではこのリストの中からギフトスキルを選んで下さい、『水属性魔法』と『言語理解』は最初からサービスで付けますから、なるべく強力な戦闘スキル「じゃあ、『錬金術』と『鍛治』を付けてくれ」ご、ゴリゴリの生産系スキル!』

私は震えた。


『えーと、初期装備なんですけどー』

「このままじゃ駄目なのか?」

『ちょ、これから貴方の行く世界は中世レベルの文明のの世界なんですよ!』

ちょっと、何クルマに乗り込んでるのよ、しかもそのクルマ武器弾薬満載してるじゃない!


「魔物退治にはこれくらい必要だろ、まさか『ひのきのぼう』で魔物と戦えとか言うんじゃないだろうな?」

『ああ、もう好きにして下さい・・・』

私は用意していた『ひのきのぼう』と『やくそう』を身体の後ろに隠した。


『あ゛!』

えっ、ちょっとヤバいじゃない!

「どうした?」

『先に転移した勇者ちゃんが魔王軍の幹部に絡まれてる!』

「魔王軍の幹部?」

『魔王軍の四天王よ、今の勇者ちゃんはスライムぐらいしか倒せないのに~』

「じゃあ、さっさとそこに俺を転移しろ」

『転移』


いやー、やっぱりプロは頼りになるなぁ、あっ、あの人、魔族をクルマで轢いちゃった!

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