部屋のクーラーがストライキを起こしてしまった。AI機能搭載のアプリをスマホにダウンロードしたのが原因だ。――環境問題は一人一人の心がけが大切なのです。埒が明かないと判断したアツシは、部屋を飛び出して所沢の森下先輩のところへ。バイクで連れて行かれたのは県境近くの森。――こうして森の中に入れば、ホラ涼しいじゃないか。そこで先輩に教わった物事の本質。それは多くの日本人が忘れてしまった大切なこと――なのだろう。クーラーのストライキはどうなったかって?それは作品を読んでのお楽しみ。
今回の主人公さんの一人は「スマホ」だ。機械が意思を持つ怖さと、その限界。逆に、人間の可能性。テーマは、べたかもしれない。しかし、この作品を読むだけで、夏は涼しくなれること請け合い。映画「ゆきゆきて神軍」では、戦争シーンは一つも出ない。それでいて、究極の戦争映画と言える要素を持っている。この作品も、それと同じような構図のもとで描かれている。確かに、いかにもホラー的な描写はない。だがしかし、究極のホラーというべき作品に仕上がっている。
短い話ですが、綺麗にまとめられています。