第13話 僕らの活動は今日も遅めにスタートする③


大学行きのバスの中で僕の携帯が振動する。


パスワードを打ち込みLINEを開くと

『明文大学天文サークル』


と表示されたグループに一件通知が表示されていた。



ふと昨日の歓迎会の後のやり取りを思い出す。



お店を出た後、帰ろうとしたところ後ろから渡辺さんに肩を叩かれた。


「斎藤君! 連絡先交換しようよ。LINEやってる??」

「う、うん。やってるけど」


僕がそう言うと渡辺さんは携帯を取り出し、画面に映し出されたQRコードを差し出してきた。


慌てて携帯を取り出しカメラで読み込むと、彼女の連絡先が表示され


『渡辺 愛子』という文字と、小林さんとのツーショット写真が目に入る。


大学に入って初めて連絡先の交換をした。その事実に胸の鼓動が少し早くなるを感じた。


「あーずるい愛子! 私が先に弘樹君と交換しようと思ったのにー」


そう言うと彼女も携帯を取り出し、QRコードを差し出してきた。


「私とも交換してくれるよね?」


上目遣いで聞いてくるその顔を僕は直接見ることができず、俯いたまま顔を上下させた。


「へへ、やった」


小さく呟いたその言葉が僕の耳から頭の中に入り、心臓が早くなる。


QRコードを読み取り表示された画面には名前とともに、渡辺さんと同じ写真が映った。


「二人は仲良しなんだね」


僕がそう言うと彼女らは


「もちろん!」と声を合わせて言った。


目の前に咲く二つの花に思わず僕も笑みが零れる。


楽しそうに僕らを見つめる森センと僕の目が合うと、先生は何か思いついたように言った。


「どうせならグループを作ったらどうだい?連絡もそのほうが楽だろう」

「もとからそのつもりですー」


小林さんが拗ねたように答えた。


こうして僕は彼女らの連絡先を入手しグループに招待してもらったのである。


人数は僕をいれて3人。大学の公認サークルになるまであと2人。

道のりは短いようで長い。


そう思いながら文面を確認する。


「今日は活動日ではありませんが、特別にサークル活動を行います。森先生には許可をとってます」


初のサークル活動に僕は期待を持ちつつも、その文面に若干の違和感を覚えた。


メッセージだとこのような喋り方なのだろうか。昨日の彼女の話し方との違いにどこか引っかかる。


別に直接会う時と文面上の態度が違うことはおかしいことではない。

文章を打つのが苦手な人などは堅苦しい書き方になることは珍しいケースでもない。


そのことを踏まえても僕は心のどこかで引っかかるものを感じた。


そして僕はこの違和感の正体を知るにそう時間はかからなかった。












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