第254話五期生3-3
コメント
:!?
:あれ、もしかしてもう『始まって』る?
:流石ライブオン、最後までオールウェイズを出してくれる
:サービス開始のお知らせ
:むしろサービスは終了しただろ
:ライブオンはサ終してからが本番だから
『なんていきなり言われてもそんな教科ないってなりますよね! そこで! まず大前提として、皆さんは愛というものは一体なんだと思いますか? 大まかでいいので答えてみてください』
コメント
:ぇ……
:ヨスガ〇ソラ
:いつくしみあいの心とかどっかで見たような……
:恋愛感情みたいなシンプルな話?
『はいお前ら0点』
!?!?
『おっと失礼しました、まだ新人なもので、あはは。こほん、えーまず控えめに言わせてもらうと皆さんは愛というものを大きく誤解しています。もっと詳しく言うと愛を感情の中という狭い定義でしか考えることができていないのです。それはつまり愛とは感情などというくだらないモノでは到底測れない美しき概念であることを知らないということ。先生はね、それは凄く悲しいことだと思うの』
コメント
:やべぇ、絶対やべぇ
:あれ、これもしかして危ない思想の話ですか?
:なんか体が震えてきた
『まず先程も言いましたが、先生は愛とは感情ではなく概念だと捉えています。愛は感情でも、あるいは絶対的なモノでもなく、ある時生まれてある時消える、そしてそれは各々の捉え方次第である、そう言いたいわけなの。ここまでは大丈夫ですか?』
コメント
:大丈夫なわけないです
:いきなり東大の講義に迷い込んじゃった気分だわ
:あやしい宗教の間違いでしょ
:哲学の話ですか?
:この世界に絶対はない、つまりはサムライ〇の話でしょ
:愛とはサムライ〇だった!?
:冗談抜きで今までで一番なにを言っているのか分からない……
『この程度で分かりませんか……可哀そうに……』
コメント
:仮にも生徒に可哀そうとか言い出したぞこの先生
:大草原
:分かりたくないです
『でも心配しないで! 私は先生、分からない子に教えるのがお仕事なんだから、ここからは例を使って分かりやすく解説します! 愛とはなんたるかをお勉強しましょう! さて、今回例として持ってきたのはこちらの「シャーペンと消しゴム」です。こちらの二枚の画像を見てください、片方にシャーペンが、片方に消しゴムが写っていますね』
コメント
:分かりたくないのに拒否権が無い、これが本当の義務教育
:本当に画像出てきた
:シャーペンと消しゴム……これがなぜ愛に繋がる?
『はい、この2枚の画像にはいくつも愛が生まれています! つまりはそういうことなのです!』
コメント
:!?
:はい!?
:wwww……ww……????
『理解度がミジンコのお前らの為に解説していきますね! まずこのシャーペンと消しゴムはお互いの視点からなければならない存在です。シャーペンは書いたものを消せないと不便だし、消しゴムはそもそも消す対象が居なければ存在価値がない。この関係性ってね、愛以外の何物でもないよね』
シャーペン「俺、お前が居てくれるから自由に生きていられるんだ」
消しゴム「私なんて貴方と出会うために生まれてきたのよ」
『となるわけだよね! でも愛はこれだけじゃないよね? そう! シャーペンのお尻についてるあの全然消えない小さい消しゴムが出てくるわけだ! 登場するのは消しゴムだけ家に忘れてきてしまったとき――』
シャーペン「どこだ!? どこに居るんだ消しゴム!? このままじゃ、このままじゃ『さんぽ』と書こうとしたら間違えて『ちんぽ』になってしまったこの間違いをどうやって正せばいいんだ!? このままでは俺が下ネタシャーペンになってしまう……」
???「心配ないわ」
シャーペン「誰だ!?」
???「私よ」
シャーペン「お前は……尻ゴム……」
尻ゴム「そう。私を使いなさい」
シャーペン「そんな、君はまだ初めてじゃないか! その綺麗な純白の体を俺の為なんかに汚すことはない!」
尻ゴム「いいの、だって私がやりたいんだもの。いつもあなたには私よりよっぽど綺麗に消せる消しゴムさんがいた。だから今まではあなたを陰から見ていることしかできなかった。でも今くらいは……今くらいはあなたのピンチを助けさせて? 私を使ってほしいの。お願い、これは私の我儘」
シャーペン「尻ゴム……」
『ということだよね! 尻ゴムちゃんの一途で健気な思いにシャーペンはときめいちゃって、状況に流されて一消しの関係を持ってしまい……あぁ、また愛が生まれてしまった……。でも、実はまだこの画像には愛が隠れているって気が付いた人いるかな? それはね――』
消しゴム「ぐすっ、ぐすっ、シャーペンに浮気された……隠そうとしていたけど彼の尻ゴムが確かに汚れていたもの……酷い! あんな生娘に惑わされるなんて!」
???「消しゴム、泣かないで」
消しゴム「!? あ、貴方は……消しゴムカバー!?」
消しゴムカバー「そう、M〇NOとでっかく書いてあることでお馴染みの消しゴムカバーだ」
消しゴム「貴方どうして……」
消しゴムカバー「そりゃあ、僕の仕事は君を包み込むことだからね。やっと出番が来たよ」
消しゴム「まさか貴方……ずっと? ずっとそこに守ってくれていたの? どうして今まで黙って……貴方が喋ったのなんて見たことがないわ……」
消しゴムカバー「あはは……僕にできることって、本当にこれくらいだからさ。ずっとシャーペンと君との応援ができればそれでいいかなって思ってたんだけど……今日はなんか我慢できなくなっちゃって。あはは、迷惑だったかな?」
消しゴム「ううん、そんなことない! そうなのね、いつもそばで支えて、一緒に歩んでくれていたのね……ありがとう」
『ってねうはあああああああ! 尊! まじ尊! 儚くも美しい! これこそ愛! 真実なる愛! 人間同士の交流なんていう嘘にまみれたきったねぇ関係とは一緒にしてはいけない尊さだわーーーー!!』
「――――――――」
なにを――なにを言っているんだこの人――?
「え、エーライちゃん」
得体のしれない恐怖に襲われ、助けを求めるようにエーライちゃんに話しかける。
「なにを言っているんだこの人?」
「!?」
だ、だめだ! エーライちゃんも完全に呆気に取られている!
そうだ! 聖様なら!
「聖様!」
ライブオン屈指の変態であるあの聖様なら私をこの恐怖から救い出してくれるはず!
「なにを言っているんだこの人?」
「ぇ……」
うそ――でしょ――?
あの聖様が――理解できて――いない――?
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