第223話ライブオン一般常識テスト6
「問題。七福神の内の一人である大黒天様は大きな袋を持っています、その中身にはなにが入っているか答えよ」
あーはいはい! 七福神様ね! はいはいはい。こんなのね、もうね、よゆーですよ!
「七福神様の問題だね。日本では一般的におめでたい存在という認識が強くて、言葉自体はほとんどの人が知っているだろうけど、神様全員の名前は知っているかな? 恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁才天、福禄寿、寿老人、布袋の七柱で構成されているから、せっかくだし覚えていこうね」
うんうん、そんなのもう当然よ! もう知りすぎて寝ている間もずっと神様の名前順番に口ずさんでるくらいだからね私!
「さて、この七福神様だけど、実は日本だけじゃなくてインドや中国の神様が由来になっている神様もいるんだよね。たとえば大黒天様、毘沙門天様、弁才天様はそれぞれインドのヒンドゥー教からマハーカーラー神、クベーラ神、サラスヴァティー神が由来になっているみたい」
コメント
:ましろん先生物知りー! 頭の中ウィキペディア!
:絶妙にバカにしてそう
:マハーカーラーってシヴァ神のことじゃなかったっけ? ほのぼのとした顔してるけど意外と苛烈なメンバーもいるんだな…… ¥777
:まぁあれだ、由来があるってだけだから……
:ヒンドゥー教の神々は中々刺激的なエピソードが多いからな。そこがまた魅力なんだが
:あーはいはい、福神漬の話ね。カレーには必須だよね
:そうだね! おいしい!
:優しい世界
はいそれ知ってるー! 知ってますー! この私が七福神様で知らないことなんて何一つないから! 実は私七福神ガチ勢なんだよね! 七福神様全員の同担拒否厄介オタク女だから私!
「さて、解説してるうちに残り十秒になったよー。解答まだの人は急いでね。…………はいタイムアップ。それじゃあ答え合わせを。正解は『七宝』だね」
フゥー! やったぜ!
「宝とは言ってもこれは物質的な物じゃなくて、人間にとって大事な七つの精神的な宝物と一般的には解釈されているよ」
キャー! 流石大黒天様かっこいい! 私もその袋の中に入れてー!!
「というわけで恒例の晒し上げにいくわけなんだけど……めっちゃ間違えてる人いるじゃん、確かにこの問題は少し難しかったかな。んーどうしよっかな、とりあえずシオン先輩には来てもらおうかな」
ふっ、皆この程度も分からないとか、私は悲しいよ……。
「あとあわちゃん、分かってんだろさっさと来い」
こんな問題分かるわけねーだろ。
「はい、二人共来てくれたね」
「シオン先輩。七福神だと誰推しですか?」
「へ? お、推し? 突然どうしたの淡雪ちゃん? えっと、強いてあげるなら好きなのは恵比寿様かなー」
「私七福神全員の同担拒否女なんで敵ですね。覚悟してください。恵比寿様は私のものです」
「敵が多いのか少ないのかよく分からない推し活してるね……というか問題間違えたからここにいるんじゃないの? 推しのこと間違えたらだめでしょ!」
「この問題が出題された瞬間に推しになったので仕方ないんです」
「淡雪ちゃん、もしかして酔ってる?」
「酔ってます」
「はいあわちゃん嘘つかない。問題間違えたのを酔ってるって言って誤魔化そうとしてもそうはいかないよ。シオン先輩も真面目に取り合わなくていいんです」
「え? あ、えっと、ごめんなさい……でも、ましろんなんで私が酔ってないって分かったんですか? 一問目からこの問題までの間に飲んでた可能性もありますよね?」
「僕くらいになると声色とかで分かるんだよ」
「あっ、なるほど」
そっか……ましろんそこまで分かっちゃうんだ……///
「はい、というわけであわちゃんの答えがこちら」
【ストゼロ一年分】
「はい、次はシオン先輩の解答です」
「待ってましろん! せめて触れて! 呼んだのならせめてイジってよ!!」
「だって予想ついてたし」
「違うの! これは『あの袋の中身は15500本のストゼロが詰まっているいるのさ』ってボケて、『それ一年分の本数じゃなくない?』って突っ込まれるまで計算に入れた解答なの!」
「解答時間をなんで一発ネタを考える時間にしちゃったの?」
「欠片も分かんなかったらそりゃあボケるでしょうが!」
「芸人意識の鑑」
コメント
:てぇてぇ
:まぁ袋の中って色んな解釈あるからそれでもいいんじゃね?
:ノルマ達成
ましろんに上げて落とされたところで、次はシオン先輩の解答――
【皆の願い事】
「ねぇましろちゃん、これって間違いなの? 私こう教わったことあるんだけどな」
ほぇ~、夢があっていい答えだなぁ。
「一説にはそうとも言われているらしいのですね。でも嫌な予感がしたので、唐突ながらチャンスターイム」
「え? チャンスタイム?」
「今からシオン先輩に質問をします。それの返答内容次第で正解か不正解か決めます」
「随分強引な……でも分かったよ!」
「では質問です。大黒天様の袋に入れる、シオン先輩の願い事ってなんですか?」
「え? 袋いっぱいの赤ちゃん」
「はいバツ」
「なんでー!?」
最悪の答えじゃねーか。
コメント
:ヒェ!?
:これはましろちゃんが正しい
:クトゥルフの神じゃねーんだから
:それだと大黒天様が誘拐犯みたいに見えちゃうでしょうが!
:赤ちゃんはみ~んなしまっちゃおうね~
:とんでもない冒涜じゃん……
「ほら、コメント欄にダメな理由がズラズラと流れてますよ」
「ぅー……わ、私と大黒天様との子供かもしれないじゃん!」
「こらこら、神様を燃やそうとしない。そもそも、シオン先輩は巫女さんなんだからこの類の問題はしっかり答えられるようにしないとだめですよ」
「ぅぅぅーー……はい、その通りです。勉強しておきます……」
正解を書いたのにバツになる。ライブオンとはそういう場所である。
【告知】
5月20日新作PV公開です。聖様出ます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます