第136話ひと狩り行こうぜ1

『モン狩り』日本に住むゲーマーの方なら恐らくこのタイトルを聞いて何らかの反応を体が示さない人は少数だろう。

シリーズを重ねるごとにその知名度は爆発していき、ついには社会現象と呼ばれるほどの驚異的人気を誇った伝説的ゲームタイトルだ。

決して初心者に優しいゲームバランスだったわけでもUIが整っていたわけでもない。ただこのゲームは仲間と協力する楽しさを教えてくれた。

さて、ここまで語っておきながらこの心音淡雪、実はほぼゲーマーですらないのでモン狩り経験が0、今までの説明はwikiガン見である。

だがここにきてまさかのモン狩り新作発表、出来が良すぎて人気爆発、ライブオン界でも流行るの三連コンボ。

皆の配信を見るにつれて淡雪の中でどんどん膨らんでいったモン狩り欲はとうとう限界を迎え、今日、新たな新米狩人が誕生したのだった。


「プシュ! モン狩り界に舞い降りた超新星、シュワちゃんだどー! そして今回のスペシャルゲスト!」

「やっほー! 皆の心の太陽、朝霧晴が昇ってきたよ! 今日はモン狩りを何も知らないシュワッチの為に先生役として最序盤のサポートを承ったよ!」

「まさかこんな介護企画を引き受けてもらえるとは、晴先輩暇なんですか?」

「お? 不躾な者め、私のことは今から大先生閣下(スペシャル帝王女王皇帝神様爆盛りアゲアゲペガサスミックス)と呼んで崇めるがいい愚民風情が」

「無知な後輩にマウント取って悲しくないんですか? あ、そんなことしてるからコラボしてくれる人いなくなってここにたどり着いちゃったわけですかなるほど」

「ぐすん、シュワッチは私のこと嫌いなの?」

「……嫌いだったら元から晴先輩に先生役頼みませんよ」

「しゅ、シュワッチ!」

「は、晴先輩!」

「「デレシシシシシシシシ!!」」


コメント

:突然のオー〇リーリスペクトやめろ

:え、そんなワンピでしか聞いたことない笑い方が被ることある?

:早くモン狩りにいってどうぞ

:この人たち開幕トークだけで数時間繋ぎそうで怖い

:黙ると死ぬタイプの人達だからな


というわけで、完全に何も知らない初心者が初めから通用するほど甘いゲームではないと聞いた私は晴先輩に援助を頼んだ次第。

まだ発売したばかりだから他のライバーもそこまで進んでるわけじゃないけど、過去作経験者も多くその人たちは明らかに動きが違う。

これから協力プレイしていくわけだから、最低限はゲームのシステムとコツを把握してから参加したいわけだ。


「それじゃあゲーム開始するどー!」

「あいよー」


幻想的な景色の中を巨大なモンスターが暴れまわるなんとも高揚感を誘うOPが流れる。

どうやら今作は和風をモチーフにしたと思われる世界観で、私の奥底に眠る大和魂がビンビンに勃起していくのが分かる。

かの英雄ヤマトタケルは言いました。「モン狩りにハマりすぎて人生詰んだ」古事記にもそう書いてあるから間違いない。

さて、どうやらOPも終わりさっき自分でクリエイトした主人公が家らしきところで寝ているシーンに移った。

そしてそこに現れるは二人の人影。な、なに!?


「おいペガサス! 大変だ!」

「オウ? どうしたのですかアワユキボーイ!」

「全身生殖器みたいなメスモンスターが二匹も現れたんだ!」


な、なんだこの耳の尖った姉妹と思われる性癖のコス〇コ女たちは!?


「何ということだ! これじゃあモン狩りドスならぬモン狩りドスケベじゃないか! まさかモン狩りはモンスター娘を狩るエロゲーだった!? ドスケベ姉妹二匹の同時狩猟なのか!?」

「ワオ! ナイスミレニアムアーイ! ミーのトゥーンペガサスにもダイレクトアタックなのデース!」


コメント

:予想通りの反応過ぎて草

:あれだけ名称の候補がありながら選んだのがペガサスなのか……

:さてはペガサスさんマインドクラッシュしてません?

:なるほど、これがモン娘クエストってやつですか

:ツッコミ不在の恐怖


「それにしてもなぜこの主人公は未だに寝ているんだ? 今立たなくていつ立つんだよ二重の意味で! 死力を尽くして任務に当たれ! 性ある限り最善を尽くせ! 決して犬死するな! 立ち上がれ! 気高く舞え! お前は定めを受けた戦士のはずだ!」

「さぁ! ウマ男フルチンダービーの始まりデース! あらゆるクエストがベースキャンプから始まるようにこのゲームも股間のベースキャンプから全てが始まるのでーす! さぁアワユキボーイ! 今こそ事前に教えたあの名言を言う時なのデース!」

「りょ、了解しました! いきますよ? せーの!」

「「ひとヤリイこうぜ!」」

「……あ」

「ん? どうしたのですかアワユキボーイ?」

「よく考えたらキャラクリ女にしてたから勃つものないじゃん」

「は? キャラクリでプレーミスしすぎだろ、ペガサスも萎えて王国編に帰っちゃったよ」


コメント

:草草の草

:はいギルティ

:常に謝罪用の菓子折りを準備しておくことを強く推奨します

:ほんと頭の悪い天才二人

:キャラクリのプレミってなんだよ……


まぁなんかよくわからなかったけど淡雪の狩人生活、始まります!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る