第120話ワルクラ配信2-6
再び時間は流れて翌日の夜。
いよいよ最後の建築物が完成したのでお披露目の時間だ。
「聖様、今までは私が先に発表していたんですけど、もしよければ今回私が後に発表してもいいですか?」
「ん? どうしてだい?」
「絶対的自信があるので。真打は最後が相応しいでしょう?」
「ふーん、言ってくれるね。了解した、私が先陣を切らせてもらおう。でも私だって今回は自信があるから、最後に大恥をさらしてもしらないよ?」
「ふふ、せめて圧勝させないでくださいよ?」
というわけで先に聖様の完成品の場所まで移動だ。
……うん、移動しているんだが……。
完成品と思われる建物が段々画面に映し出されていくに対比して、私の足は前に進むことを拒み、可能なことなら今すぐにでも後ろを向いて逃げ出したい衝動に襲われていた。
「さぁ見てくれたまえ! これが聖様渾身のイチモツ……間違えた、一品さ!」
眼前にそびえたつ……いや、いきり勃っているのは天に向かって伸びる先端らへんが少々不自然に膨らんでいる縦30メートルほどの棒状の物体。
うん、もう帰っていいかな。
コメント
:アウトー!!
:本当にやりやがった……
:これは立派な大人のマツタケですわ
:お、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃん、完成度たけーなオイ
:正直やってくれるんじゃないかとは思ってたけど本当に造るとは……
:これはモザイクが必要なのでは……?
「ディルド造るとかまじドン引きですよ聖様。私たち今からこんな俗物が存在している世界に生きていかないといけないんですか? もういっそのこと今からこれ爆破して去勢しません?」
「まぁ待ちたまえよ淡雪君、まだ評価するには早い、ちょっとこっちに来てくれ」
「はいはい」
重すぎる足を何とか動かし聖様の背中を付いていくと、そこには一つのレバーがあった。
そしてレバーから例のブツにはなにか線で繋がっていて……これは回路ってやつかな?
そういえば私はまだ手を出したことがないが、このゲームはブロックと回路をうまく繋ぐことでブロックを動かすことが可能なはずだ。
ま、まさか――!?
「Let‘s OTINTIN Time」
ガシャンガシャンガシャンガシャンガシャン!!
性様がレバーを引くと、イチモツがハイスピードで痙攣するように小刻みに動き出した!
「ディルドじゃなくてバイブだったーー!?」
「ビューティフル……いや、これはビューティンティンフルフルと言った方がいいか」
コメント
:大草原
:めっちゃうるさくて草
:めっちゃぬるぬる動いてるけどどんな回路引いたんだ……
:ビューティンティンフルフル、声に出して読みたい日本語
:英語だろ
:英語でもないだろ
:淫グリッシュだな
:英語圏の人に言ったらbeautifulの最上位系と判断してもらえそう
:コングラッチバイブレーション!
相変わらず平常運航の聖様に散々振り回されてしまったが、次はいよいよ私の番だ。
今考えると、どうして最も自由にしてはいけない人にこの題材を与えてしまったのだろうか……。
まぁうだうだ言っていても仕方がない。それに今から披露する私の建築物を見て貰えば皆あんな建築物なのかどうかも分からん物のことなんか忘れてしまうはずだ。
今まで私のことを豆腐屋さんと言ってくれたリスナーたちよ、さぁ見るがいい――私が魂を込めて生み出した絶世独立のアートを!
コメント
:ファ!?
:し、信じられん
:これは……実写とも呼べるのではないか?
:人間はここまで真理に近づけるというのか!?
:この角っぽさを完璧に消した美しい円柱型、その周りを囲むやけにギラギラとした装飾
:締めには思わず口をすぼめてしまいそうになる果汁滴るレモン
:これがあらわすものは――ッ!
:ストゼロじゃねぇか!
:草、二人とも本当に自由すぎる
:さっきまで聖様の建築物にドン引きしていた人が建てたものがこれである
:てかでか過ぎね? 高さ60メートル以上はありそう
:一番恐ろしいのはこれを一切の迷いない超スピード建築で造り上げたこと。一晩でこれはやばい
:一度も参考画像すら見てないんだよな。『造形は全て体が教えてくれる』って言い始めたときは笑った
:ストゼロの匠
:豆腐屋から酒屋になったな
:これは流石に勝敗決まったかな
:クオリティがえぐすぎる
「これでどうかこの世界にもストゼロの加護があらんことを」
「すっげ、ネオアームストロングゼロサイクロンジェットアームストロングゼロ砲じゃん、完成度たけぇな」
結果は満場一致で私の勝利、全戦全勝やったぜ!
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