第112話大型新人VTuber1
「はい皆さま、今宵もいい淡雪が降っていますね、心音淡雪です」
「はーいはいはい! 皆のハートにライジングサン、新人VTuberの朝霧晴でーす!」
「あれ、今までそんな挨拶してましたっけ?」
「新人VTuberだからね、名前を覚えてもらうためにキャッチーな新しい挨拶を考えたのだよ!」
「なるほど、よい心がけですね。いつ考えたんです?」
「やっぱりね、こういうのってふとしたときに天から降ってくるものだと思うのだよ。だから私は今この瞬間の天からの声に従ったわけだ」
「つまりは思いつきってことですね」
コメント
:¥50000
:ノータイム無言満額スパチャ草
:ライブ最高だったよー!
:初コラボがライブ会場で次はオフコラボなの草、順番めちゃくちゃや
:意地でも直接会うノーガードスタイル
:新人……?
朝霧晴ソロライブ【ハレルヤ】から一夜が過ぎた。
今日は晴先輩を私の家にお誘いして二人でライブの振り返り兼雑談配信である。
あれだけ盛り上がったライブ直後の配信だけあって同時接続者数がとんでもないことになってるけど、なんとか平常心保ってやっていこう。
「えーそんなわけで、改めてライブオン一期生の新人ライバー朝霧晴です、みんなハロー!」
「これまた謎なポジションの人が現れましたね、先輩か後輩かどっちなんですか?」
「皆の後輩でもあり先輩でもあり同期でもある、そんな存在なのさ!」
「都合がいい女ってことですね、完全に記憶しました」
「あ、あれ? なんか語弊がある気がするぞ?」
「違うんです?」
「違うの」
「じゃあオプションが豊富な女ってことですね、体に刻んで記憶しました」
「それ、はたから見たら体を張ってオプション豊富自称してるヤベータトゥー女だからね」
「タトゥー文化を全て一概に否定するのはちょっと古いですよ」
「いや否定してるのは内容の方だから!」
「はい、そんな冗談はさておいてですね、知らない方の為に簡単に説明しますと、昨日のライブで心機一転することにした晴先輩がNG無しになったわけです。温かく見守ってあげてください」
「うん、とうとう過去の改ざんをやり始めたね、昨日の涙は今日の愛液ってことか」
「何言ってるんですか? 下ネタはメッです」
「うがあああぁなんじゃこいつうううぅぅ!!!!」
コメント
:草草の草
:めっちゃ仲良くなってるやんwww
:かたったーでライブの打ち上げしたって言ってたからそれで打ち解けたんかな
:今までの崇めるような言動が嘘のようである
:実質全てのライブオンライバーの生みの親か、これは大型新人
:昨日の流れ見た後だと自然と泣けてくる。ハレルンよかったなぁ……泣きすぎて口と下の口がよだれまみれや
:どさくさに紛れてシコって公害まき散らすのはやめてもろて
:下の口って言ったから女の子かもしれんぞ?
:神聖な行いで世の中に貢献して誇らしくないの?
:手のひらグレン〇ガンやめろ
コメントにもあったが、あのライブの後に出演ライバーとスタッフさんとで成功を祝って打ち上げがあった。
内容としては羞恥で顔を真っ赤にしながらしおらしくなった晴先輩が見れたりとそれはそれは楽しい時間だった。特に印象的だったのはその場にいたライバーにこれからは同期みたいなものだと思ってほしいと声を掛けていた晴先輩の姿。皆も微笑ましい目で応えてあげるシーンはなんとも感動的だった。
大きな見どころを彩らせてもらった私とはそれはもう話が盛り上がり、今のようなラフな関係にまでなった。
ああもう隣にちょこんと座る晴先輩がかわいいんじゃー!!
「え、なに? 突然抱き着いてきてどうしたん?」
「かわいいね」
「え、なんで私理不尽なこと言われた後にいきなり口説かれてるの? 温度差やばすぎて太陽の火消えちゃいそうなんだけど、世界の危機なんだけど。多分次いきなりビンタとかされたら頭バグっておかしくなっちゃうよ」
「まぁまぁ落ち着いて」
「ねぇなんで私を膝の上に乗せたの? 本当にバグっちゃうよ? 私天才だから困惑するのに耐性ないからね?」
おほー! 名前と見た目を裏切らずにぽかぽかであったかいんじゃあ!
「まぁそんなわけで、晴先輩は私の後輩とも呼べる人物になったわけですよ。あ、なんかお腹すきましたね。ほら、早く食パン買ってこいよ」
「あれ、もしかして私フェルマーの定理並みの難問出されてる? あわっちの頭の中が全く証明できそうにないよ」
コメント
:かつてここまで振り回されるハレルンがいただろうか
:ペースを掴むとハレルンもボケ倒すんだろうけどこれはあわちゃんが強いな、怒涛の攻めで固めてる
:ハレルンは何気にツッコミもできるのがやばい、防御も一流なのは強者の証
:最近あわちゃんがストゼロ無しでも普通に強いのが恐ろしい
:なんかさっきからバトルしてるみたいで草、配信者とはいったい
「ほらどうしました? 食パンじゃなくてもフランスパンでもいいですよ?」
「むーっ! 私以外の後輩にはあわっちもっと優しかったはずだぞー!」
「今まで散々振り回された仕返しです。ほら、ついでに乾パンも買ってきてください」
「ねえなんでさっきからそんな嗜好性の低いパンばっかなの? パンをおかずにパンを食べることになるよ? お口の中ぱっさぱさになっちゃうよ? もっと総菜パンとかにしようよ……」
「でも本当にお腹すきましたね、ハムとチーズ乗せて食パン焼いてきます」
「いや自由か!」
「晴先輩も食べます?」
「食べるー!」
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